稲葉俊郎

稲葉俊郎：医療の枠を超え、いのちの多様性に向き合う医師

稲葉俊郎氏は、1979年熊本県生まれの医師であり、医学博士です。東京大学医学部附属病院循環器内科助教を経て、現在は軽井沢町国民健康保険軽井沢病院の院長を務めています。また、信州大学社会基盤研究所特任准教授、東京大学先端科学技術研究センター客員研究員、東北芸術工科大学客員教授、慶應義塾大学システムデザイン・マネジメント（SDM）研究科特任教授といった数々の肩書きを持ち、幅広い分野で活躍しています。

経歴

熊本県立熊本高等学校を卒業後、東京大学理科三類に入学。2004年に東京大学医学部医学科を卒業し、2014年には東京大学大学院医学系研究科内科学博士課程を修了。東大病院では循環器内科医として、カテーテル治療や先天性心疾患を専門としていました。週に一度の往診による在宅医療や、夏には山岳医療にも従事するなど、臨床医としての活動も積極的に行っていました。

2020年からは、軽井沢病院総合診療科医長、信州大学社会基盤研究所特任准教授、東京大学先端科学技術研究センター客員研究員、東北芸術工科大学客員教授を兼任。2022年より軽井沢病院院長に就任し、地域医療の発展に尽力しています。2024年からは、慶應義塾大学システムデザイン・マネジメント（SDM）研究科特任教授にも就任し、未来の社会を見据えた研究活動にも取り組んでいます。

人物と活動

稲葉氏の活動は、西洋医学の枠にとどまりません。医療の多様性と調和を重視し、伝統医療、補完代替医療、民間医療など、幅広い医療を研究しています。また、日本最古の医学書である国宝『医心方』の勉強会を主宰したり、民俗学の映像上映会を主催するなど、医療を文化的な視点から見直す試みも行っています。

未来の医療と社会の創発を目指し、伝統芸能、芸術、民俗学、農業など、あらゆる分野との対話を積極的に行っています。山形ビエンナーレでは芸術監督を務めるなど、芸術と医療の融合にも力を入れています。著書も多数あり、医療やいのちに関する考察を深める著作を発表しています。

著作

いのちを呼びさますもの —ひとのこころとからだ（アノニマ・スタジオ、2017年）
ころころするからだ: この世界で生きていくために考える「いのち」のコト（春秋社、2018年）
からだとこころの健康学（NHK出版、2019年）
いのちは のちの いのちへ ―新しい医療のかたち―（アノニマ・スタジオ、2020年）
いのちの居場所（扶桑社、2022年）
ことばのくすり～感性を磨き、不安を和らげる33篇 （大和書房、2023年）
* 山のメディスン―弱さをゆるし、生きる力をつむぐ―（ライフサイエンス出版、2023年）

これらの著書を通じて、稲葉氏は、医療のあり方、いのちの尊さ、健康の概念について、新たな視点を提供しています。また、ラジオ番組や舞台のアソシエイトプロデューサーとしても活動するなど、多岐にわたる分野でその才能を発揮しています。

稲葉俊郎氏は、現代社会における医療のあり方を問い直し、人々の心と体の健康、そして社会全体の幸福に貢献するために、精力的に活動を続けている人物です。

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