稲葉聡

稲葉聡のプロフィールと業績

基本情報

稲葉聡（いなば さとし）は、日本のアマチュア将棋選手として知られています。彼は1985年10月14日に生まれ、史上初めてアマチュア選手としてプロ公式棋戦（加古川青流戦）で優勝したことを成し遂げた特異な存在です。棋士の稲葉陽は彼の実弟であり、将棋対局の才能は兄弟の血を引いています。

早期の将棋との出会い

兵庫県西宮市で誕生した稲葉は、小学1年生の頃に将棋を習い始めました。その後、加古川市に引っ越し、小学5年生の夏からは井上慶太が指導する将棋教室に通うようになります。中学2年生の時、彼はプロ棋士養成機関である新進棋士奨励会に入会し、井上門下として将棋の技術を磨きました。しかし、卒業後には3級の段位で退会しています。

再起と成長

兵庫県立東播工業高等学校の2年生の時、アマチュア大会での敗北に悔しさを感じ、再び将棋に真剣に取り組むようになります。同年度の全国高等学校文化連盟将棋新人大会では見事に優勝を果たし、立命館大学では将棋研究会の部長を務め、2004年には学生名人の栄誉を手にしました。

社会人としての活躍

社会人になってからは愛知県名古屋市の税理士事務所で働きながら、アマチュア将棋プレイヤーとして活躍を続けました。毎週、奨励会の会員との研究会にも参加し、腕を磨いていました。この時期には、藤井聡太という若手才能と共に練習を重ね、彼の成長を目の当たりにしながらも、次第に自身の成績が藤井に追い越される形になったといいます。

プロ公式戦出場

2007年には京王杯の朝日杯将棋オープン戦に初めて出場し、プロ棋士との対局を経験しますが、結果は戸辺誠に敗北。しかし、2011年には第24回アマ竜王戦で優勝し、再び奨励会の三段リーグ編入試験を受験しましたが、不合格となります。

2015年には第38期朝日アマ名人戦で優勝を果たし、さらに第5期加古川青流戦アマチュア選抜大会Aブロックでも頂点に立ちます。ここからプロ公式棋戦に挑戦し、アマチュア選手としては2人目のプロ公式棋戦決勝進出を果たしました。決勝戦では増田康宏との対局で、初戦を落とすも、その後2連勝し、アマチュア選手として初のプロ公式棋戦優勝を達成します。この時点での自己のプロ公式戦成績は、9勝3敗（通算10勝8敗）を記録し、プロ編入試験受験資格の獲得に近づいていました。

プロ入りを果たせず

しかし、稲葉はプロ棋士への挑戦の意思は示さず、同年には第52期赤旗名人のアマチュア枠で新人王戦に出場したものの初戦で敗退しました。2016年には特例でアマチュア大会免除で加古川青流戦に参戦しますが、ここでも初戦敗退となります。その後の第10回朝日杯将棋オープン戦・一次予選では勝利しプロ編入試験受験資格を得たものの、権利行使はしない意向を示しています。

結論

稲葉聡は、日本の将棋界においてアマチュア選手としての輝かしい実績を残しています。その業績は多くの将棋ファンに影響を与え、アマチュアの可能性を示す一例として、今後も語られることでしょう。

もう一度検索