立花誾千代

立花誾千代：戦国を彩った女武将

立花誾千代（たちばな ぎんちよ）は、戦国時代にその名を馳せた女性武将です。永禄12年（1569年）に、大友氏の有力家臣である戸次鑑連（後の立花道雪）の娘として誕生しました。幼少の頃よりその才覚は際立っており、7歳にして立花城の城督を譲られるという、戦国時代でも稀な出来事を経験します。これは、後継ぎの男子がいなかった道雪が、娘に家督を継がせるという異例の決断でした。

立花家へ

天正9年（1581年）には、高橋紹運の長男である立花宗茂を養子（婿養子）として迎え、立花家を継ぐこととなりました。宗茂との結婚後、誾千代は立花姓を名乗るようになります。しかし、夫婦関係は良好とは言えず、後に別居生活を送ることになります。ただし、一次史料では不仲を裏付けるものが見当たらず、実際には複雑な事情があったと考えられています。

九州統一と柳河への移封

その後、九州を平定した豊臣秀吉により、立花宗茂は筑後柳河を拝領し、大友氏の被官から秀吉の直臣となります。誾千代も共に柳河に移りますが、その後間もなくして城を出て宮永に居を構え、「宮永殿」と呼ばれるようになりました。この背景には、夫婦間の不和があったとされていますが、詳細は不明です。

関ヶ原の戦いと誾千代の活躍

関ヶ原の戦いでは、宗茂は西軍に属し、大津城攻めに参加しますが、本戦には間に合いませんでした。西軍敗北の報せを受け、宗茂が柳河に戻ると、誾千代は自ら家臣を率いて出迎えました。また、その武勇は、関ヶ原の戦いの後にも発揮されました。加藤清正が柳河へ進軍する際、誾千代の居館がある宮永村を避けて進軍したという逸話が残っています。

その後の生涯

宗茂が改易された後、誾千代は肥後国に居住します。しかし、病に侵され、慶長7年（1602年）に34歳で亡くなりました。その死によって、父・道雪の血筋は途絶えることになりました。誾千代の菩提寺は良清寺であり、また、熊本県長洲町には供養塔が建てられています。

武勇と美貌

誾千代は、「西国一美しい姫」と称されるほどの美貌の持ち主であったと同時に、父譲りの武勇にも長けていました。特に鉄砲と薙刀の腕前は相当なものだったと伝えられています。また、侍女を訓練して鉄砲隊を編成し、自らも武装して城を守ったという逸話も残っています。

秀吉との逸話

豊臣秀吉が、誾千代の美貌に目をつけ、名護屋城に呼び寄せようとした際、誾千代は侍女に鉄砲を持たせ、自らも武装して秀吉の前に現れたため、秀吉は手出しできなかったという逸話があります。ただし、この話は確実な史料では裏付けられていません。

現代に生きる誾千代

誾千代は、その勇ましい姿から、現代においても多くの人々に愛され、その生涯は小説やゲームなど様々な形で描かれています。また、柳川市に鎮座する三柱神社には、父の道雪や夫の宗茂と共に祭神として祀られ、慈愛の神として崇敬を集めています。

まとめ

立花誾千代は、戦国の世を力強く生き抜いた女性武将であり、その生涯は多くの人々に勇気を与え、今日まで語り継がれています。彼女の卓越した武勇と美しい容姿、そして凛とした生き方は、まさに戦国時代の華と言えるでしょう。

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