競馬雑誌

競馬専門誌：歴史と現状

競馬専門誌は、競馬に関する情報を専門的に扱う雑誌です。戦前からの長い歴史を持ち、その内容は時代と共に変化を遂げてきました。本稿では、競馬専門誌の歴史と現状、そして発行形態や内容について解説します。

戦前：黎明期と発展

日本の最初の競馬専門誌は、1907年（明治40年）に創刊された「競馬雑誌」と「馬匹世界」と言われています。初期の雑誌は、競馬の観戦記、競走結果、競馬界のニュースなどを中心に掲載していました。乗馬や馬産に関する記事も含まれていましたが、月刊誌だったため、予想記事は掲載されていませんでした。馬券発売の停止に伴い、これらの雑誌は廃刊を余儀なくされました。

その後も、「九州馬事月報」「馬之友」「馬の世界」など、競馬や馬産に関する記事を掲載した雑誌が次々と創刊されました。これらの雑誌は、競馬情報の提供に加え、俳句などの掲載も行っていました。発行部数は少なく、競馬予想に特化したものではありませんでした。

1926年（大正15年）に創刊された「競馬ファン」は、当初は予想記事に重きを置いていませんでしたが、後に予想記事を中心とした内容に転換し、売り上げを伸ばしました。「競馬界」なども同時期に創刊されています。

1931年（昭和6年）、「競馬ファン」が発行していたガリ版印刷の新聞を元に週刊誌「競馬ファン週報」が創刊されたことがきっかけで、競馬雑誌は月刊誌から週刊誌へと移行していきます。一方で、「馬の世界」や「馬之友」などの月刊誌は姿を消していきました。同時期に、関西地方向けに「ダービー」が創刊され、戦後も日刊紙「競馬ダービー」として発行されました。

1933年（昭和8年）には、「競馬研究」が創刊されました。これは、現在も日刊紙「研究ニュース」として発行されている老舗の競馬専門誌です。当初は翌週の競馬予想記事を中心に掲載し、出馬表も発行していました。

1938年（昭和13年）には「競馬週報」が創刊され、地方競馬専門誌として発展しました。後に公認競馬も扱うようになり、戦後も長く発行されました。

しかし、1940年（昭和15年）の強制廃刊命令により、多くの競馬雑誌が廃刊となり、「馬事日本」と「馬事通信」に統合されました。1943年には「馬事日本」が「馬事通信」を吸収しましたが、まもなく競馬開催が停止され、「馬事日本」も発行を中止しました。

1941年（昭和16年）には、日本[[競馬会]]の機関誌として「優駿」が創刊されました。戦時中は国策協力の観点から用紙配給を受け、競馬開催停止により1945年（昭和20年）に休刊となりました。

戦後：多様化と淘汰

1946年（昭和21年）の競馬再開後、多くの競馬雑誌が復活・創刊されました。戦後の雑誌は、当該週の競走予想を中心とした内容が主流でした。「競馬週報」「競馬研究」「競馬ファン」「ダービー」「競馬ニホン」「競馬ブック」「競走馬」などが発行されましたが、「競走馬」などはすぐに廃刊となりました。

「優駿」も復刊し、日本中央[[競馬会]]の機関紙となりました。「週刊競馬報知」「週刊勝馬」なども発行されましたが、週刊誌の競争激化により、多くの雑誌が淘汰されていきました。2019年時点では「競馬ブック」と「週刊Gallop」が主要な週刊誌として残っています。

月刊誌も1990年代の競馬ブームやゲームソフト『ダービースタリオン』ブームによって一時的に増加しましたが、ブームの終焉と共に多くの雑誌が廃刊となりました。「競馬の天才！」など、一部の月刊誌が現在も発行されています。地方競馬専門誌も、全て定期刊行物としての発行を終了しています。

現在の発行状況と内容

週刊誌は、原則として競馬開催日の翌日に発売され、駅売店、コンビニエンスストア、書店などで入手できます。内容は、翌週の重賞競走の登録馬情報、予想、各馬の能力分析、調教情報、前週の競走結果、競馬界ニュース、連載記事、海外主要競走の結果などが中心となっています。月刊誌については、各誌の内容が異なります。

競馬専門誌は、時代の変化と共に内容や発行形態を変えながら、競馬ファンに情報を提供し続けています。今後も、競馬界の発展とともに、その役割は重要性を増していくでしょう。

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