笠原水道

笠原水道：水戸の歴史を潤した上水道

笠原水道は、かつて水戸城の城下町に存在した上水道であり、現在の茨城県水戸市において、江戸時代に開削され、人々の生活を支える飲料水を供給していました。水源地は笠原水源と呼ばれています。

歴史

1662年（寛文2年）、水戸藩主であった徳川光圀は、城下町の慢性的な水不足を解消するため、町奉行の望月恒隆に上水道の設置を命じました。調査の結果、平賀保秀によって笠原が水源として選定され、永田勘衛門が工事を担当することになりました。

永田勘衛門は、岩樋と銅樋を組み合わせた全長約10kmにも及ぶ暗渠を敷設し、水源から城下町へと水を引きました。この大規模な工事は1663年（寛文3年）に完成し、工費は554両、延べ2万5000人もの人夫が動員されました。

その後、1802年（享和2年）には大規模な修理が行われ、1826年（文政9年）には笠原水道を記念して「浴徳泉の碑」が建立されました。明治時代に入ると、竜頭共用栓が水戸の町角に数十基設置され、多くの人々がこの水を利用しました。

2016年時点では、水源地である笠原水源に竜頭共用栓が復元され、湧水に塩素を注入した水道水が供給されています。また、敷設当時の岩樋の復元模型も展示されており、当時の技術を垣間見ることができます。水道が通っていた場所は、現在逆川緑地公園として整備されており、発掘調査で出土した岩樋が展示されています。

史跡としての価値

笠原水道は、日本国内で18番目に古い上水道として知られています。その歴史的価値が認められ、1938年（昭和13年）3月11日に茨城県指定文化財に指定されました。

笠原水道は、単なる給水施設としてだけでなく、水戸の歴史と文化を伝える貴重な遺産として、大切に保存されています。訪れる人々は、当時の人々の知恵と努力に触れ、水の大切さを改めて認識することができます。

参考サイト

笠原水道 - いばらきの文化財
笠原水道 - 水戸観光協会
笠原水源の竜頭栓から出ている水は湧き水なのですか? - 水戸市
20.竜頭共用栓（笠原水源） - 水戸商工会議所
水戸の水道の歴史について - 水戸市

関連項目

永田氏 (水戸藩)

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