第一次セバーヨス遠征

第一次セバーヨス遠征：七年戦争におけるスペインの南米侵攻

第一次セバーヨス遠征は、七年戦争中の1762年から1763年にかけて、スペイン軍がリオ・デ・ラ・プラタ地域でポルトガル領に対して行った軍事作戦です。ペドロ・アントニオ・デ・セバーヨス率いるスペイン軍は、現在のウルグアイにあたるバンダ・オリエンタルへと侵攻し、ポルトガル領のコロニア・ド・サクラメントなどを占領しました。

背景：第三次家族協約とポルトガル侵攻計画

1761年の第三次家族協約により、スペインはフランスと同盟を結び、1762年1月にイギリスに宣戦布告、七年戦争に参戦しました。スペインは、イギリスの同盟国であったポルトガルを攻撃する計画を立て、ポルトガル本土への侵攻を開始するとともに、新大陸におけるポルトガルとの係争地、特にコロニア・デル・サクラメントやグアポレ川右岸の占領を目指しました。

1762年の遠征：コロニア・ド・サクラメントの攻略

1762年、スペインはカルロス・ホセ・デ・サリア率いる艦隊を派遣し、セバーヨスにサクラメント攻撃の命令を伝えます。セバーヨスは兵員と艦船を準備し、同年9月にラプラタ川を渡り上陸作戦を開始しました。現地のインディアンの協力も得て、スペイン軍は4千人近くに膨れ上がりました。10月5日にはコロニア・ド・サクラメントの包囲を開始し、ポルトガル軍は準備不足と兵力不足から、10月31日に降伏しました。

イギリスの介入とロード・クライヴの沈没

イギリスはスペインに宣戦布告したものの、当初南米での戦闘には直接関与しませんでした。しかし、イギリス東インド会社が南米のスペイン植民地の征服を企図し、戦艦ロード・クライヴなどを派遣します。この艦隊はリオ・デ・ジャネイロで増援を得てラプラタ川へ向かいましたが、ブエノスアイレスとモンテビデオの守りが堅いため、コロニア・デル・サクラメントの奪回を目指します。しかし、スペイン軍の反撃により、ロード・クライヴは炎上し沈没、多くの犠牲者を出して撤退を余儀なくされました。

1763年の遠征とサン・テレサ要塞の占領

1763年春、セバーヨスはコロニア・ド・サクラメントを保持したまま、サン・テレサ要塞を攻撃し、降伏させました。さらに、サン・ミゲル要塞も占領し、現在のブラジル領リオグランデ・ド・スル州にあたる地域を征服しました。しかし、リオグランデ・ド・スルに残ったポルトガル領を奪取する試みは、サンタバーバラの戦いでの敗北により失敗に終わりました。この頃、セバーヨスの元に和約締結の知らせが届きました。

その後：パリ条約と「静かなる戦争」

七年戦争において、スペインはセバーヨスの遠征では勝利を収めたものの、他の戦役では敗北しました。コロニア・デル・サクラメントは1763年のパリ条約でスペインからポルトガルに返還され、リオグランデ・ド・スルも後にポルトガルによって再征服されました。現ウルグアイ領にあるサン・ミゲル要塞とサンタ・テレサ要塞のみがスペイン領として残りました。

パリ条約後も、スペインとポルトガルの間では「静かなる戦争」と呼ばれる宣戦布告なき紛争が継続しました。この紛争は1777年まで続き、第二次セバーヨス遠征の成功を経て、両国は第一次サン・イルデフォンソ条約を締結しました。

この遠征は、南米の勢力図を大きく変動させる要因の一つとなりました。

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