家族協約

家族協約

家族協約（かぞくきょうやく）は、フランス王国とスペイン王国のブルボン家君主間で結ばれた重要な同盟であり、三回の主要な協定が存在します。これらの協約は、18世紀のヨーロッパにおける国際関係や戦争の展開に大きく影響を与えました。

第一次家族協約

第一次家族協約は、1733年11月7日にエスコリアル条約として締結されました。この協約の背後には、スペイン王フェリペ5世とフランス王ルイ15世の血縁関係があります。フェリペ5世はルイ14世の孫であり、スペイン・ハプスブルク家の断絶後にスペイン王として即位しました。

フェリペ5世は、もともとスペインとフランスの合併を避けるためのユトレヒト条約の規定に基づき、自国の王位を認められました。また、彼はイタリアにおけるスペインの領土をハプスブルク家に譲渡する代わりに、フランスとの同盟を選択しました。この同盟は1733年のポーランド継承戦争に関連し、フェリペ5世はイタリアの失われた領土を取り戻す機会を得ようとしました。

結果として、彼はルイ15世との連携を深め、ロレーヌ公国をフランスが獲得し、フェリペ5世は三男のためにナポリ王国とシチリア王国を得ることに成功しました。

第二次家族協約

1743年10月25日、第二次家族協約がフォンテーヌブロー条約によって結ばれました。これもまた、第一次と同様にスペイン王フェリペ5世とフランス王ルイ15世の間で成立しました。この時期はオーストリア継承戦争の真っ只中であり、協約の主な焦点は戦争遂行にありました。

この協約によって、1748年にはフェリペ5世の四男がパルマ、ピアチェンツァ及びグアスタッラ公に任命され、スペインのイタリアにおける影響力が強まる結果となりました。

第三次家族協約

1761年、第三次家族協約はスペイン王カルロス3世とフランス王ルイ15世間のパリ条約によって成立しました。カルロス3世はフェリペ5世の三男であり、ルイ15世のいとこに当たります。この頃、フランスは七年戦争の最中であり、カルロス3世は先代のフェルナンド6世の中立政策から、攻撃的な同盟政策に転換しました。協約にはスペインの同盟国であるナポリ王国とトスカーナ大公国も含まれました。

しかし、スペインの参戦はイギリスとの間での戦争を引き起こし、マニラやキューバへの侵攻へと繋がりました。その後、1763年のパリ条約で一時的に回復を果たしながらも、フロリダをイギリスに譲渡せざるを得ない状況を招きました。

その後のフランス・スペイン協約

1779年4月12日、フランスとスペインはアランフエス条約を締結し、スペインはアメリカ独立戦争に参戦します。この条約は第三次家族協約の延長として見なされたものの、「第四次家族協約」とは名付けられませんでした。さらに1796年8月には、マヌエル・デ・ゴドイがフランスとの交渉によって第二次サン・イルデフォンソ条約を締結し、スペインはイギリスに宣戦布告します。しかし、この頃にはフランスのブルボン家は革命によって影響を受けており、この条約自体は「家族協約」として扱われることはありませんでした。

そのため、家族協約はフランスとスペインの歴史的な友好関係を象徴する重要な合意であり、17世紀から18世紀の国際情勢における戦略的な意味合いを持つものでした。

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