紀文食品

株式会社紀文食品について

株式会社紀文食品（KIBUN FOODS INC.）は、魚肉練り製品を中心に製造・販売する食品メーカーです。本社は東京都中央区銀座に位置し、長年にわたり日本の食卓を彩ってきました。

主な製品と特徴

紀文食品の主力商品は、蒲鉾、伊達巻、おでんの具材となるはんぺん、ちくわ、薩摩揚げなどです。これらの製品には「紀文」の焼印が施されているものが多く、品質の高さとブランド力が伺えます。

もともと魚肉練り製品は、各地域で水揚げされた魚をその場で加工する郷土料理でしたが、紀文食品は冷凍すり身をいち早く導入し、品質の安定化と安定供給を実現しました。また、チルド配送システムを確立することで、全国への展開を可能にし、練り製品を家庭の食材として普及させた功績は特筆すべき点です。

新商品の開発にも積極的で、1996年には「チーちく」を、2013年には「糖質0g麺」を発売し、消費者のニーズに応じた商品開発を行っています。

文化継承への取り組み

紀文食品は、日本の伝統文化を次世代に継承するための活動も積極的に行っています。例えば、「子どもたちに伝えたいお正月絵本作品募集」や、おせち料理の写真を投稿する「ずっと伝えたい、我が家のおせち。フォト自慢コンテスト」などを開催しています。また、子供向けの職業体験施設「キッザニア東京」では、「はんぺん職人」のアクティビティを提供し、食文化への理解を深めています。

CI（コーポレート・アイデンティティ）

紀文食品のシンボルマークである「ハートフラワー」は、3つのハートが組み合わさったデザインで、「生産者」「小売業者」「消費者」が一体となることを象徴しています。このマークが採用される以前は、「かたばみマーク」や「味の名門紀文」というロゴタイプが使用されていました。

また、過去には「おいしいもの、ハートで作ります」というキャッチコピーも使用されていました。長年親しまれているCMのサウンドロゴは、現在もおせちのCMなどで継続して使用されています。

沿革

紀文食品の歴史は、1938年に保芦邦人氏が東京都中央区八丁堀で「山形屋米店」を創業したことに始まります。その後、「紀伊国屋果物店」「紀文」へと改称し、1947年に株式会社として設立されました。

1950年には銀座松坂屋などの百貨店への出店を開始し、1963年には業界に先駆けてオートメーション化を導入しました。1972年にはタイに現地拠点を設置し、海外進出も開始しました。1977年には紀文の豆乳を発売し、1985年にはCIを導入してシンボルマークを採用、「魚河岸あげ」を発売しました。

その後も、1992年に紀文と旧・紀文食品が合併、1993年にタイに東南アジアの生産拠点を完成させるなど、事業を拡大しました。1996年には「チーちく」を発売し、特許出願も行っています。1997年には東日本の供給拠点として東京工場を完成させました。

1999年には東京工場がHACCP承認を取得し、2002年にはマルハ（現：マルハニチロ）と水産練製品事業で業務提携を締結しました。2004年にはキッコーマンと資本・業務提携を締結し、2007年には西日本の供給拠点として岡山総社工場を完成させました。

2013年には「糖質0g麺」を発売し、2014年にはカネテツデリカフーズと業務提携を締結、ISO9001からISO22000へ移行しました。2015年には堀川と業務提携を締結し、株式会社紀文西日本を設立しました。2021年には東京証券取引所市場第一部に株式を上場しました。

事業所

紀文食品は、北海道から九州まで全国に支社を展開しています。また、主要な工場として、恵庭工場、東京工場、船橋工場、横浜工場、静岡工場、岡山総社工場（紀文西日本）があります。

主なグループ会社

紀文食品は、国内に複数のグループ会社を有しており、株式会社紀文フレッシュシステム、株式会社紀文産業、株式会社紀文西日本、株式会社北食、株式会社豊珠興産、株式会社紀文安全食品センター、海洋食品株式会社などがあります。

海外にも、Kibun (Thailand) Co., Ltd.（タイ）、Kibun Foods (U.S.A.), Inc.（アメリカ）、Kibun Hong Kong Co., Ltd.（香港）、Kibun Foods Singapore Pte., Ltd.（シンガポール）、Yilin Kibun Corporation（台湾）といったグループ会社を展開しています。

テレビ番組とスポンサーシップ

紀文食品は、かつてテレビ朝日の料理番組「おかずのクッキング」に一社提供していました。また、女子ゴルフトーナメント「樋口久子三菱電機レディス」のメインスポンサーも務めていました。さらに、ロードレース世界選手権日本グランプリの冠スポンサーも務めたことがあります。

近年では、大相撲の呼出の衣装に広告を提供しており、2024年初場所からは日本相撲協会と呼出パートナー契約を結んでいます。

その他

紀文食品は、著名な呼出である寛吉氏がCMに出演していたり、歌手の楠トシエ氏が「紀文のはんぺん」のCMソングを歌っていたり、漫画家の川原泉氏が魚河岸あげのファンであることを公言していたりと、様々な形で文化に関わっています。

また、結婚情報誌「ゼクシィ」と共同で、オリジナルのお重を開発したり、教室を開催したりするなどの活動も行っています。

紀文食品は、伝統を守りながらも、新しい食文化を創造し続ける企業です。

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