素女

素女（そじょ）とは

素女は道教における女仙の一人であり、特に音楽の女神として知られています。彼女は紀元後の文献において、房中術の専門家として頻繁に取り上げられ、その知識は道教関連の書籍にしばしば登場します。素女の象徴は「素」と「玄」で、これは白と黒を意味し、玄女と共に陰陽の術を司る存在です。清代の文学作品『通俗大明女仙伝』では、素女は九華宮の主である玄女の妹として位置づけられ、女仙の中で高い地位を持つことが示されています。

素女の起源と文献

素女に関しての記述は、古代中国の文献『山海経』に見られます。紀元前4世紀から紀元後3世紀にかけてのこの書には、素女が黒水の都広の出身であるとの記述があり、都広は現在の四川省成都市であるとされています。また、『隋書』の中には『素女秘道経』や『素女方』という文献が記載されており、これらは現在の中国ではほぼ失われているとされます。しかし、藤原佐世が編纂した『日本国見在書目録』には『素女経』という文献に言及されています。さらに、藤原佐世の作品以外に、丹波康頼が著した『医心方』にも『素女経』が引用され、葉徳輝が再編成して形作ったものが『素女経』として伝わっています。

素女経の内容

『素女経』は黄帝と素女との問答形式による内容で、養生を目的とした性の秘訣が記されています。葛洪は、自著『抱朴子』の中で「玄素の法」と呼び、この法は房中術の代表的な象徴とされています。これにより、黄帝は長生不老の秘訣を学び、玄女や素女からその教えを受けたと伝えられています。また、黄帝は300の女性との性交渉を通じて房中術を学んだという伝説も残されています。

素女の影響

素女の存在は、詩歌や文学作品にも影響を与えています。張衡の詩「同声歌」には、新婚の花嫁が素女の教えに従い春画を参考にしている描写が登場し、春画そのものが素女図とも呼ばれることがあります。このように、素女の教えは多岐にわたり、古代中国文化に深く根付いていました。

白水素女との違い

素女とは異なる存在に白水素女がいます。彼女は陶淵明の『捜神後記』に登場し、父母を幼少期に失った青年が大きなタニシを見つけたことから物語が展開します。白水素女は天帝の命を受け、青年を富ませるために家事をこなす存在ですが、途中で青年に見つかり、帰ることになります。このエピソードは、別の側面から素女の影響を示すものであり、異類婚姻譚にも関連する興味深い物語と言えるでしょう。

参考文献

ここでは、素女についての文献や研究がいくつか紹介されています。これらの文献は、素女の信仰や思想、そして文化的背景に関する理解を深めるのに役立ちます。

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