丹波康頼

丹波 康頼（たんば の やすより）

丹波康頼は平安時代中期の貴族であり、医者としても著名な存在です。彼の官職には従五位上、医博士、鍼博士などがあり、また丹波介や左衛門佐としても知られています。

出自について

康頼は丹波国天田郡（現在の福知山市）または桑田郡矢田（現在の亀岡市）に生まれたとされています。この地域はかつて丹波国造の拠点の一つであり、その歴史が彼の出自に影響を与えた可能性があります。康頼の先祖に関しては、明確な記録は残っていないものの、渡来系の坂上氏の一族とされ、彼らは後漢の霊帝にまで遡るとする説も存在します。しかし、康頼が坂上老の子孫であるという系図には年代的整合性が欠け、一部の記録では康頼と大国の間に断絶があったとも示唆しています。このような背景から、系家研究者の太田亮は彼の出自を坂上氏に関連付けています。

経歴と業績

康頼の名が広く知られるようになったのは、彼が永観2年（984年）に『医心方』という医学書を編纂し、朝廷に提出したことによります。この書物は全30巻から成り、当時の医学知識を網羅しているため、日本に現存する最古の医学書とされています。また、康頼はこの業績により、朝廷から丹波宿禰姓を授かり、以後彼の子孫は医家としての伝統を受け継いでいくことになります。さらに、亀岡市の下矢田町には「医王谷」と呼ばれる地名が残されており、ここは康頼が住み、薬草を育てたと伝えられています。

家族と系譜

康頼の父母については不明ですが、いくつかの系図では父を坂上大国とするものもあります。彼には男子が二人おり、丹波重雅（または重明）と丹波清雅として知られています。また、養子に丹波俊雅を迎えており、彼は実際には惟宗助言の子で彼自身の門弟でもありました。康頼の子孫たちは代々典薬頭の職を世襲し、侍医としても活躍する者を輩出しました。特に、室町時代には堂上家が成立し、錦小路家を称しました。

彼の末裔の中には、医学書『医略抄』を編纂した曾孫の丹波雅忠や、豊臣秀吉の侍医であった施薬院全宗、さらには江戸幕府の奥医師であった多紀元孝などがいます。また、薬学者の丹波敬三や俳優・作曲家の丹波哲郎、義隆親子も彼の系譜に連なる存在とされています。

落ち着いた影響

丹波康頼の業績やその後の子孫たちの貢献は、平安時代の医学界だけでなく、後の日本の医療史においても重要な位置を占めています。彼の知識と技術は、医療の発展に寄与し、さらに多くの医者や薬学者が彼の流れを汲んで成長していったことが、現在に続く医療の基盤となっています。

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