細見美術館

細見美術館

細見美術館は、京都市左京区岡崎に位置する、日本の古美術を中心とした美術館です。ここは京都府の登録博物館であり、細見亮市、細見實、細見良行の三代にわたる収集品を収蔵・展示しています。管理・運営は公益財団法人細見美術財団が行っています。

概要

美術館の設立は、大阪府泉大津市で毛織物業で成功を収めた実業家、細見亮市（号：古香庵）とその長男である細見實、そして三代目の細見良行によって収集された東洋古美術品を展示するためでした。1994年に財団法人細見美術財団として認可され、1998年に美術館が開館しました。

細見家のコレクションは、琳派や伊藤若冲をはじめとする江戸時代の絵画、平安時代の仏画、仏像、仏具、古墳からの出土品など、日本美術の幅広い分野を網羅しています。その中には、重要文化財や重要美術品も多数含まれています。細見亮市は、「世界最高の美術品は日本の藤原時代の仏画だ」と主張し、自身が金属工芸から美術の世界に入った経験から、「ものの形の厳しさと甘さがわかる」と語っていました。コレクションの中でも、仏教絵画や仏具、銅鏡などの金工品は特に優れています。

二代目の細見實も早くから父の薫陶を受けていましたが、彼の関心の中心は琳派や若冲を中心とした江戸絵画でした。父は宗教美術を重視していたため、コレクションをめぐって意見の相違もあったそうです。しかし、細見實は当時あまり知られていなかった若冲や酒井抱一などの江戸琳派の作品も、後の研究に役立つとして収集しました。細見美術館が「琳派美術館」とも呼ばれる所以です。

美術館は、岡崎公園に隣接し、京都市美術館や京都国立近代美術館など、文化施設が集まる地域に位置しています。大江匡が設計した建物は、京都の町家をモチーフにした現代建築で、地下2階から地上3階まで吹き抜けの中庭、カフェ・レストラン、屋上庭園、茶室などが設けられ、来館者に憩いの空間を提供しています。

また、大阪府泉大津市松之浜町2丁目には、財団が所有する膳所城の高麗門が移築されています。

主な収蔵品

細見美術館の主な収蔵品には、以下のものがあります。

重要文化財（絵画）

絹本著色愛染明王像
紙本金地著色吉野花見図 六曲屏風
紙本著色山王霊験記

重要文化財（彫刻）

木造菩薩立像（奈良国立博物館に寄託）

重要文化財（工芸品）

金銅春日鹿御正体
線刻十二尊鏡像（瑞花双鳥八稜鏡）
金銅千躰阿弥陀懸仏
金銅透彫尾長鳥唐草文華鬘
金銅蓮華形磬
熊野十二社権現御正体
金銅五鈷鈴
金銅五鈷鈴（胎蔵界四仏種子あり）
松藤双鶴鏡
桐竹鳳凰鏡
木板彩画虚空蔵菩薩像（求聞持根本像）
芦屋霰地楓鹿図真形釜
刺繍大日如来掛幅

重要文化財（考古資料）

羽黒山御手洗池出土銅鏡 40面

所在地

京都府京都市左京区岡崎最勝寺町6-3

細見美術館は、日本の古美術の粋を集めた、見どころ満載の美術館です。ぜひ一度、足を運んでみてください。

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