統合医療

統合医療の概要

統合医療とは、西洋医学に加え代替医療を取り入れ、患者の全体的な健康を重視した治療方法です。米国ではアリゾナ大学のアンドルー・ワイル教授により、教育プログラムが展開されており、患者のニーズに応じたケアが強調されています。

日本における統合医療の歴史

日本では、明治維新以前から漢方医学や鍼灸などの東洋医学が存在していました。維新の影響で西洋医学が急速に普及する中、伝統医療は衰退しましたが、昭和以降はその復興を目指す動きが見られます。特に、漢方治療と鍼灸治療は今なお存続しており、一部では現代医学と併用されるケースが増えてきました。

現在、医師は西洋医学に基づいた教育を受けているため、一般的には漢方医や鍼灸師との交流は少なく、両者は並存しています。しかし、昭和58年には明治鍼灸大学が設立され、1990年代には「中西医結合」というスローガンが掲げられました。このような取り組みは、統合医療の重要性を高める要因となっています。

また、2005年に東京女子医科大学が「国際統合医科学研究・人材育成拠点の創成」というプログラムを開始し、国際統合医科学インスティテュート（IREIIMS）が設立されました。これにより、医学生や医療従事者への教育や、実践的な統合医療の研究が推進されています。

統合医療に関する組織の活動

今日、いくつかの団体が統合医療を推進しています。日本統合医療学会(IMJ)や日本補完代替医療学会、日本統合医療系連合学会などが、研究や教育を進め、医療現場での統合医療の実施を目指しています。

統合医療は、病気の早期発見や予防、健康維持をサポートし、医療費の削減にも寄与することが期待されています。しかし、日本の医療制度では、西洋医学は健康保険の対象となりますが、代替医療は適用されないことが多く、混合診療の禁止により、自由診療が含まれると全額自己負担になる問題も存在します。

2010年には、当時の鳩山由紀夫首相が統合医療の推進を表明し、厚生労働省もプロジェクトチームを設立しました。アメリカの研究を参考にしつつ、統合医療の実態把握を始めたものの、政権交代後はその動きが停滞しています。

統合医療とホリスティック医療の違い

統合医療は、全体的なアプローチを持ちつつ、西洋医学と代替医療の「足し算」として機能します。これに対して、ホリスティック医療は、全体を最初に考えるアプローチが特徴で、患者自身が癒すことを重視します。スピリチュアルな側面も含むため、二者は異なる視点を持っています。

結論

統合医療は、西洋医学と代替医療のバランスを保ちながら、患者の健康を向上させる新しい医療の形として期待されています。これからも日本における統合医療の実践が進むことが望まれています。

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