習志野文化ホール

習志野文化ホールは、千葉県習志野市に所在する、文化芸術の振興と市民の文化活動の場を提供するための施設です。1970年に制定された「習志野市文教住宅都市憲章」の理念に基づき、市の文化的な象徴となる施設として計画され、1978年にその歴史を開始しました。

設立と背景

本ホールの建設は、国鉄（現JR）津田沼駅南口における大規模な開発計画の一環として進められました。旧第一中学校の移転に伴う跡地利用を含むこの計画は、習志野市の「表玄関」となるエリアに文化・商業の中核を創出することを目的としていました。文化ホールはこの開発の中心施設と位置づけられ、当時の金額で約26億5千万円という多額の費用が投じられました。建設にあたっては、市民からの募金運動や企業の支援も大きな力となり、第三セクター方式での建設が実現しました。

役割と機能

開館当初から、習志野文化ホールは市民生活を豊かにするための重要な役割を担ってきました。市立小・中学校や全国的な活躍で知られる習志野高等学校の音楽活動を支援し、多くの優れた才能を育む場となっています。また、習志野芸術祭や市民文化祭といった市民自身が企画・運営する文化イベント、さらには年末の風物詩である習志野第九演奏会など、多彩な文化・芸術活動の発表および交流の拠点として、多くの市民に利用され、親しまれています。これらの活動を通じて、文化芸術の醸成に大きく貢献してきました。

市民の人生における節目を祝う成人式をはじめとした各種式典の会場としても利用されるほか、交通の要衝である津田沼駅に近接しているため、市外からの来訪者による交流人口の創出にも寄与しています。超高齢社会においては、高齢者が文化芸術に触れ、活動に勤しむための貴重な機会を提供する場ともなっています。さらに、「音楽のまち習志野」を推進するシティセールスの展開にも貢献しており、まちづくりにおける多角的な役割を果たしています。

特徴的なパイプオルガン

習志野文化ホールの最も特筆すべき特徴の一つに、大ホールに設置された壮麗なパイプオルガンがあります。3,512本ものパイプを持つこのオルガンは、日本の公営ホールに本格的なパイプオルガンが設置された最初の事例としても知られています。年間約30回程度の演奏会やイベントで活用され、豊かな響きで聴衆を魅了してきました。近年、ホールの建て替え計画が進む中で、パイプオルガンの再設置にかかる高額な費用（約1億5千万円）が課題となりましたが、市民や音楽ファンからの熱意に応える形で、クラウドファンディングによる資金調達が実施されました。2024年10月1日から始まったクラウドファンディングは目標額6,000万円を大きく上回る約8,700万円の支援金を集めることに成功し、建て替え後の新ホールにパイプオルガンを再び設置することが正式に決定されました。

沿革

習志野文化ホールは、その歴史の中で様々な出来事を経てきました。1971年に駅南口開発計画が公募され、1973年にはフジタ工業の提案が採択されました。1976年に財団が設立され、1977年に建設が着工。1978年 12月21日に開館記念式典が行われ、吉田實氏によるパイプオルガン演奏で幕を開けました。開館直後には習志野第九演奏会が開催されています。1979年9月3日には、落語家の三遊亭圓生がこのホールでの公演中に倒れ、急逝するという出来事があり、現在ホール入口には「終焉の地碑」が建立されています。その後も、開館記念行事や、市民創作ミュージカル、大規模改修（2002年、2018年）、東日本大震災からの復旧（2011年）などを経て運営が続けられてきました。2015年には施設の所有が習志野市に移管されました。2023年3月31日の特別企画をもって、施設の老朽化や周辺再開発に伴う建て替えのため、長期休館に入りました。新しいホールの再建設基本計画は2023年4月3日に策定されています。

交通アクセス

習志野文化ホールへのアクセスは良好です。鉄道を利用する場合、JR総武本線津田沼駅から徒歩約2分、新京成線新津田沼駅から徒歩約10分、京成本線京成津田沼駅からも徒歩約14分と、各方面からの利便性が高い場所に位置しています。自動車を利用する場合は、京葉道路の花輪インターチェンジや東関東自動車道の谷津船橋インターチェンジが利用できます。

建て替えによる長期休館期間を経て、習志野文化ホールは新たな姿で市民や多くの来場者を迎え、今後も習志野市の文化振興に貢献していくことが期待されています。

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