肺活量

肺活量とは

肺活量（はいかつりょう、vital capacity、VC）とは、人が最大限に息を吸い込んだ後、肺から吐き出すことができる空気の量を指します。肺の全肺気量（Total lung capacity、TLC）から残気量（residual volume、RV）を差し引いた値と一致します。肺活量の単位はミリリットル（mL）で表されます。

肺活量は、性別や年齢によって異なります。一般的な目安として、成人男性では4000〜4500mL、成人女性では3000〜4000mL程度とされています。ただし、これはあくまで平均的な値であり、個人差が大きいことを理解しておく必要があります。

日常の呼吸では、肺活量全体を換気しているわけではありません。1回の呼吸で換気される空気量は、およそ500mL程度です。これは、肺活量のごく一部に過ぎません。

肺活量の測定

肺活量は、スパイロメーター（Spirometer）と呼ばれる医療機器を用いて測定します。測定方法には、ゆっくりと息を吐き出す方法と、できるだけ速く息を吐き出す方法の2種類があります。

通常の肺活量測定：ゆっくりと息を吐き出して測定します。
努力性肺活量（FVC）測定：できるだけ速く息を吐き出して測定します。努力性肺活量は、通常の肺活量よりも小さい値になる傾向があります。

肺活量測定では、実測値だけでなく、年齢や身長から計算される予測肺活量も参考にします。実測値と予測肺活量を比較することで、パーセント肺活量（%[[肺活量]]）を算出します。この値は、気管支拡張症や肺線維症などの拘束性[[肺疾患]]の診断に役立ちます。

さらに、肺活量を身長で割った値を肺活量指数（Spiroindex）として用いることもあります。

予測肺活量の計算式

予測肺活量は、以下の式で計算されます。

男性：予測肺活量(mL) = (27.63 - 0.112 × 年齢) × 身長(cm)
女性：予測肺活量(mL) = (21.78 - 0.101 × 年齢) × 身長(cm)

肺活量と健康

肺活量は、呼吸器系の健康状態を示す重要な指標の一つです。肺活量が低下すると、呼吸困難や息切れなどの症状が現れることがあります。

若年層においては、日常的な運動不足が努力性肺活量の低下につながる可能性があることが研究で示唆されています。特に若年女性において、運動不足と努力性肺活量の低下との関連性が指摘されています。また、慢性的な腰痛を抱える女性では、そうでない女性と比較して努力性肺活量が低い可能性も示唆されています。

肺活量を維持するためには、適度な運動習慣を身につけることが大切です。禁煙や呼吸筋トレーニングも有効とされています。

まとめ

肺活量は、呼吸機能の重要な指標であり、健康状態を把握する上で欠かせないものです。定期的な測定と、健康的な生活習慣を心がけましょう。

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