脂肪肝

脂肪肝の概要

脂肪肝とは、[肝臓]]内に中性脂肪が異常に蓄積される状態を指します。健康的な肝臓には通常、湿重量の5%程度の脂肪が含まれていますが、脂肪肝の場合、この量が30%以上に達します。最も多い原因は飲酒ですが、非アルコール性の脂肪肝も増加傾向にあります。特に[[ボディマス指数]が30以上である人々の多くは脂肪肝を抱えているとの報告もあります。

疫学と原因

日本国内では、近年、飲酒量が減少しているにもかかわらず脂肪肝患者は増加しています。宮城県の調査では、1991年から1998年までの間に脂肪肝の頻度が16.6%から32.6%と倍増しました。アメリカ合衆国では、成人の13%及び肥満の小児の38%が脂肪肝を抱えています。

脂肪肝の主な原因には、過剰なアルコール摂取、肥満、2型[[糖尿病]]、代謝異常があります。また、食事の乱れや運動不足も影響を及ぼします。特に現代人の食生活においては、炭水化物や糖質の過剰摂取が肝臓に脂肪を蓄積させる要因の一つです。

脂肪肝の分類

かつては、脂肪肝はアルコール性脂肪肝と非アルコール性脂肪肝に分けられていましたが、2020年以降はメタボリック症候群に関連する新たな分類が提唱され、特定の代謝異常を伴う場合には「メタボリック障害関連脂肪肝疾患(MASLD)」や「メタボリック障害関連脂肪肝炎(MASH)」といった新たな診断名が使われるようになりました。

症状と診断

脂肪肝自体には明確な自覚症状がない場合が多く、疲労感や腹部の軽い不快感を感じることも稀です。しかし、放置するとひどい肝機能障害や肝硬変、肝臓がんのリスクが高まります。NOFLD（非アルコール性脂肪性肝疾患）は日本の成人において約30%の人にみられる状態です。

診断は血液検査や画像診断を通じて行われます。血液検査では肝機能の指標となるALTやASTの値を確認し、画像診断ではエコー検査、CT、MRIを用いて肝臓内の脂肪の存在を確認します。また、必要に応じて肝生検が行われることもあります。

治療法

脂肪肝は可逆的な状態であり、原因を取り除くことで改善が期待できます。飲酒が原因の場合、禁酒によって状態が改善することが多いです。肥満を伴う非アルコール性脂肪肝の場合、ダイエットと食生活の見直しが基本的な治療法です。

特に、栄養のバランスが重要です。食事療法では、エネルギーは体重に応じて調整し、タンパク質の摂取を高めることで改善が見込まれます。具体的には、エネルギー摂取は25-35kcal/kg、タンパク質は1.0-1.5g/kgが推奨されています。

まとめ

脂肪肝は現代社会において無視できない健康問題です。生活習慣の見直しや定期的な健康診断を通じて、早期発見・早期改善を心がけましょう。自身の身体を大切にし、健康的な生活を送ることが、脂肪肝を予防するための第一歩です。

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