興行収入

興行収入について

興行収入とは、映画館における入場料金の合計収入を指し、一般的に「興収」と略されることもあります。この指標は、映画や劇場がどれだけの収益を上げたかを示す重要な要素であり、英語では「Box Office」と称されます。この用語は映画鑑賞以外の興行にも適用される場合があります。

日本における興行収入の変遷

日本では、1999年までは映画の興行成績が配給収入を基に発表されていましたが、2000年以降は興行収入を用いた発表に変わりました。この変更には背景があり、配給収入と興行収入の混同が多かったこと、映画業界のデータをより分かりやすく表示する必要があったこと、そして、配給収入表示が日本映画界の閉鎖的で不透明な面を象徴していたことが理由として挙げられています。また、国際的な趨勢に合わせるためという見方もあります。結果として、本来のヒット規模である配給収入10億円以上の作品発表は行われなくなりました。

北米の興行成績

北米において、興行収入はアメリカ合衆国、カナダ、プエルトリコ、グアムを含む地域でのデータを示します。アメリカでは、北米興行収入は「国内興行収入」と同義で使用され、日本では「全米興行収入」とも称されます。

週末興行成績の重要性

日本のケース

日本での週末興行成績は、興行通信社や文化通信といった映画業界の資料を通じて発表されることが多いですが、発表されるのは限られた作品のみです。そのため、多くの映画の興行成績は不明瞭です。毎年3月にはキネマ旬報から一部作品の総興行収入が、さらに翌年1月には総興行収入10億円を超えた作品が日本映画製作者連盟により公示されます。興行成績が初週の金土日で評価され、その結果は上映期間を左右します。最初の週末の成績が低ければ、上映期間は短縮され、高ければロングランヒットとなる可能性があります。特に、大作映画は公開日の設定を工夫し、その週末の成績を強調することで収益を上げる戦略を取ります。

北米の状況

北米では、週末興行成績についても興行収入が公表され、各映画の上映中の総興行収入が把握できます。

配給収入の仕組み

配給収入とは、興行収入から映画館の取り分を差し引いた配給会社の収益部分であり、これを「配収」と略すことがあります。映画館は配給会社から映画を受け取り、その使用料を興行収入の割合で支払います。この割合は「歩率」と呼ばれ、作品ごとに異なる契約に基づいて変動します。

興行的成功の基準

興行成績の評価だけでなく、成功の基準も設定されています。日本では、総興行収入10億円以上がヒットの基準とされており、昨今は30億円を超えると大ヒットと認識されることが一般的です。アメリカでは、興行収入が1億ドル以上であればヒット、2億ドル以上であれば大ヒットと考えられています。アート系のミニシアター作品では、5000万円以上で大ヒットとされ、1億円超えでメガヒットとされる基準が存在しましたが、シネマコンプレックス時代の今、その明確な基準は不明になったとの意見もあります。

映画制作と興行収入の関係

制作費や宣伝費を考慮に入れると、配給収入から製作会社が利益を得ることは時に難しくなります。興行収入が高くても、経費を引いた後の収益が製作会社に届かない場合も少なくありません。制作費を抑えつつ、高い興行収入を目指す戦略が求められています。例えば、ある映画が製作費10億円で、興行収入が30億円となった場合でも、必要な経費を考えると利益が計算しにくいこともあるのです。このように、興行収入は映画産業全体の健全性を示す重要な指標であり、業界関係者の戦略にも大きな影響を与えています。

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