芙蓉部隊

芙蓉部隊（ふようぶたい）

概要

芙蓉部隊は、大東亜戦争の末期に日本海軍で編成された進攻夜間戦闘機隊で、「戦闘804飛行隊」「戦闘812飛行隊」「戦闘901飛行隊」の3個飛行隊で構成されていました。最初は「関東空部隊」として設立されましたが、沖縄戦においては正式に「芙蓉部隊」と呼ばれるようになります。部隊の指揮官、美濃部正少佐は夜間攻撃を主な戦術としており、敵の航空基地や艦艇への攻撃を行いました。

特徴と由来

部隊名の「芙蓉」は、富士山の別名「芙蓉峰」に因んでおり、静浜村（現在の焼津市）の藤枝基地からの眺めが関係しています。また、部隊の隊旗は当時の第三航空艦隊長官、寺岡謹平中将の揮毫によって作成されました。隊員たちは薄紅色のマフラーを身に着けており、これが部隊の象徴ともなっていました。

組織構成

芙蓉部隊は、1945年2月から4月まで関東海軍航空隊に所属し、その後、第一三一海軍航空隊に移行しました。部隊は、当初の編制から細かく分割され、最終的には「鹿屋（岩川）芙蓉部隊」と「藤枝芙蓉部隊」として運用されました。美濃部少佐が戦闘901飛行隊長に任命されると、彼は部隊の指揮をしっかりと執り続けました。

夜襲の戦術

美濃部は夜間戦闘機による攻撃を重視しており、特に敵の空母に対する夜襲を構想しました。彼の戦術は、敵戦闘機が行動不可能な時間帯、特に未明に一気に攻撃を仕掛けるものでした彼の指導の下、夜間攻撃の訓練は厳しく行われ、搭乗員たちは昼夜逆転の生活をしながら熟練度を高めていきました。

特攻の実態

部隊では特攻を拒否したとされていますが、実際には編成当初から特攻を戦術として採用し、いくつかの特攻出撃を行ったこともありました。特に、美濃部の命令で出撃した部隊員の中には特攻によって戦死した者もいます。

結果と戦果

芙蓉部隊は総出撃786機、未帰還機数は16機の零戦、37機の彗星を失い、103名の死者を出しました。彼らの戦果は、具体的な証拠が確認できていないものも多く、艦船攻撃や飛行場攻撃において、アメリカ軍の公式記録にはほとんど成果が反映されていません。

終戦と復員

終戦を迎えた1950年以降、芙蓉部隊は公式に解散し、残存隊員たちは復員手続きを行いました。このとき、指揮官の美濃部は海軍航空隊に引き続き勤務し、その後も社会に貢献する活動を続けました。復員後は自衛隊に応募し、空将に昇進するまでの道を歩みました。

影響と評価

芙蓉部隊の存在は、日本の航空戦術や特攻についての議論を呼び起こし、戦後もその活動は多くの作品や資料に取り上げられています。隊員たちの訓練や精神性は、今なお厳しい戦争の中での日本の防衛理念を考える手助けとなっています。

芙蓉部隊の活動は、当時の日本軍航空戦力の貴重な一例として、今後も歴史的な評価が続いていくことが期待されます。

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