美濃部正

美濃部 正とは

美濃部 正（みのべ ただし、1915年7月21日 - 1997年6月12日）は、日本の海軍軍人および航空自衛官であり、海兵64期生として知られています。最終階級は海軍少佐、空将であり、元々の姓は太田でした。

生涯

戦前

美濃部は愛知県高岡村（現在の豊田市）で、自作農の家に六人兄弟の次男として生まれました。彼の父は地元の名士で、信用購買販売組合の設立に関与していましたが、家庭の経済状態は厳しく、虚弱な体質の美濃部は小学校時代から幾度かの病気に悩まされました。1928年に刈谷中学に入学し、特に柔道に力を入れつつも、学業の成績は振るわず、海軍兵学校への進学は厳しいとされていました。しかし、兄の励ましもあり、1933年に海軍兵学校に入学することができました。

海軍時代

美濃部は海軍兵学校を卒業後、海軍少尉としての任官を受け、続いて軽巡洋艦「由良」に乗組。その後、飛行学生として訓練を受け、九四式水上偵察機に搭乗しました。彼の軍歴の中では、特に水上機の運用において経験を積むこととなり、太平洋戦争の激化を迎えることになります。

太平洋戦争

1941年12月に真珠湾奇襲作戦に参加し、帰国後には新婚旅行を楽しむ一方で、戦局は厳しさを増していきました。彼は再三にわたり戦闘任務に従事しましたが、大東亜共栄圏の意義に疑問を持ち、特に虐殺や空襲を生じたことに対して苦悩し続けました。開戦後の一連の爆撃作戦において、当初の指導方針や作戦に対し疑念を抱くようになり、戦争の悲惨さ、虚無感に見舞われていました。

特攻とその後

美濃部は特攻に関しても考案しましたが、彼の特攻に対する姿勢は矛盾していたと言えます。特攻命令を出すことに対する倫理的葛藤がありつつも、自らの責任感から精神的にも非常に厳しい立場に置かれました。彼はまた、パイロットたちに対して特攻を拒否するかのように振る舞ったとも言われています。

戦後の活動

戦後、美濃部は名古屋地方人事部に勤務し、その後は太田家を頼って再び農業を始めるも、生活が困窮し、最終的に航空自衛隊に入隊し、飛行学校の訓練課長となりました。彼は航空自衛隊の設立にも貢献し、数多くの重要な役職を歴任。

美濃部は晩年に亡くなるまで、自らの過去と向き合いながら数々の著作を執筆し、日本の戦争に対する批判的な視点を持つようになります。父としての立場から、またひとりの兵士としての重責を意識しつつ、平和を望む姿勢を強く持ち続けました。

最後に

美濃部正は日本の戦争の歴史において、複雑な役割を果たした人物であり、彼の生涯や思想は後世に語り継がれるべき貴重なものであります。彼の人生を通じて、戦争の意味、特攻の意義、そして平和への願いを新世代に残そうとする姿勢が浮き彫りになっているのです。

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