草地章江

草地章江（くさち ふみえ）は、1969年11月24日に東京都調布市で生まれた、日本の元声優および元ロック歌手です。活動時のイメージカラーは赤でした。1989年に音楽の世界でプロデビューを果たし、その後は主に声優としてその才能を発揮。特に、国民的な人気を誇るアニメ『クレヨンしんちゃん』にて、鳩ヶ谷ミッチーの初代担当声優として広く認知されるようになりました。

幼少期から歌手デビューまで

草地氏の芸能キャリアへの興味は、中学時代にバンド活動へ惹かれたことから始まります。当時、バンドメンバー募集の情報誌を手にしましたが、希望するボーカルの募集が見当たらず、一度は断念しました。しかし、友人たちのバンド練習に同行するなど、音楽との関わりを持ち続けました。高校在学中には自身もバンドでボーカルを担当し、これが後の歌手活動につながる経験となります。高校2年生の頃には、知人の紹介を通じて芸能事務所マイティーハウスに所属。この知人が事務所の社長と面識があったことがきっかけでした。

高校卒業後、進学校に在籍していたこともあり大学進学も真剣に検討していましたが、最終的にはプロの歌手の道を選びます。約1年間の準備期間を経て、1989年2月21日にシングル「Sailing Alone」とアルバム『NOT ALONE』を同時にリリースし、歌手として華々しいプロデビューを飾りました。当時の所属事務所はマイティーハウスからノーサイド音楽出版へと移り、レコード会社はハミングバードでした。これらの環境は、同時期に活躍していた歌手・中村あゆみ氏と共通しており、アルバム制作においては鎌田ジョージ氏をはじめ、中村あゆみ氏と親交の深い音楽家たちが多数参加しています。その後も精力的に作品を発表し、音楽活動を続けました。

声優としての活躍

1990年代に入ると、草地氏は声優としての活動も本格化させます。1993年にはOVA作品『アイドル防衛隊ハミングバード』で取石卯月役に起用され、声優デビューを飾りました。この作品では声の演技に加え、主題歌なども担当し、歌手と声優の両面での才能を発揮しました。その後、彼女の声優キャリアにおいて最も広く知られることになるのが、1997年から約7年間にわたり担当した『クレヨンしんちゃん』の鳩ヶ谷ミッチー役です。ミッチー役を通じて、多くのアニメファンにその声が認識されるようになりました。他にも、テレビアニメ『魔法のステージファンシーララ』で夢野美樹役、OVA『今日から俺は!!』で理子役などを演じています。また、声優活動期の1995年には写真集も刊行しており、多方面でその存在感を示しました。

その他の活動と引退

歌手・声優としての活動と並行して、テレビやラジオの世界でも活躍しました。デビュー前後の時期には、中京テレビの『ラジオDEごめん』でパーソナリティを務め、その名を広める一助となりました。文化放送を中心としたラジオ番組では、自身の冠番組を持つなど、多くのリスナーに親しまれました。CSチャンネルのキッズステーションやテレビ埼玉で放送された『ANIMEX倶楽部』では、影山ヒロノブ氏と共に司会を務めるなど、幅広いメディアで活躍しました。

主な参加作品（抜粋）

草地章江氏が声や歌で参加した主な作品を以下に挙げます。

テレビアニメ
『クレヨンしんちゃん』（鳩ヶ谷ミッチー〈初代〉）
『魔法のステージファンシーララ』（夢野美樹）
OVA
『アイドル防衛隊ハミングバード』（取石卯月）
『今日から俺は!!』（理子）
ゲーム
『同級生』（斉藤亜子）
『プリンセスメーカー2』（マルシア・シェアウェア）
『対戦アイドル麻雀ファイナルロマンスR』（藤崎美夏）

ディスコグラフィ（アルバム）

歌手としてリリースした主なアルバムは以下の通りです。

『NOT ALONE』（1989年）
『MAGICAL BEAT』（1989年）
『WINGS OF ANGEL』（1994年）
『FACES』（1996年）
* 『Pure』（1998年）

草地章江氏は、2004年に『クレヨンしんちゃん』の鳩ヶ谷ミッチー役を降板したのを最後に、芸能界から引退しています。引退の理由としては、体調不良のためであると伝えられています。

歌手として幕を開け、声優として特に広くその名を知らしめた草地章江。その多才な活動は、限られた期間ではありましたが、多くの人々の記憶に鮮烈な印象を残しています。

もう一度検索