萩の月

萩の月（はぎのつき）

萩の月は、1979年9月より宮城県仙台市の菓匠三全によって販売されている和菓子です。このお菓子はカスタードクリームをカステラ生地で包んだ饅頭型の形状を持ち、その形と色合いが「萩の咲き乱れる宮城野の空に浮かぶ名月」と見立てられています。現在では宮城県内外の多くの店舗で販売されており、1日あたり約10万個が製造されています。また、脱酸素剤を使用した先駆け商品としても知られ、その長い保存が可能な点においても注目されています。

歴史の始まり

1984年の東京オリンピックを境に、菓匠三全は観光客の増加を背景に新たな土産品の開発を決意しました。1970年には『樅ノ木は残った』の放送を機に「伊達絵巻」という新商品が誕生。当初は知名度が低かったものの、仙台空港での販売を開始したことで次第に認知され、デパートや鉄道弘済会での取り扱いも始まりました。その後、直営店を展開する中で、新たな商品開発に着手。消費者からのアンケートを基に、しっとりした生菓子の需要があることがわかり、カスタードクリームをカステラ生地で包んだ萩の月が誕生しました。

しかし当初、保存料を使わなかったため日持ちがしませんでした。それを解決するため、三菱瓦斯化学と共同で脱酸素剤を用いた賞味期限延長の研究が開始されました。

技術革新と成功

1978年、仙台空港と福岡空港を結ぶ航路が開設された際、菓匠三全が積極的に営業をかけた結果、機内菓子として「萩の月」が採用されます。そのデザインは高級感が重視され、小さな箱に個包装されるスタイルが人気を呼びました。さらに、共同研究を通じて完成した「エージレス」により、保存料なしでも持ちが良くなり、1979年の一般発売時には一層の評判を呼びました。

文化への影響と広がり

「萩の月」は航空便利用客に爆発的な人気を誇り、その後、松任谷由実がラジオ番組内でこの菓子を絶賛したことがきっかけで、全国的に知名度が上昇しました。さらにはテレビ番組での紹介も相まって、店頭から商品が消えるほどの売れ行きを見せました。発売からわずか数年後には、日本各地で模倣品が登場する事態となりましたが、業界紙のアンケートでは全国土産品のランキングでも上位に位置づけられています。

限定商品と関連商品

萩の月には姉妹品として「萩の調」というチョコレートクリームを使用したバリエーションもあり、特別金賞を受賞するほどの評価を受けています。また、アニメ『かんなぎ』に関連した特殊商品が発売されるなど、地域文化とも強く結びついています。

CMとプロモーション

テレビコマーシャルには宝塚歌劇団の生徒が起用されており、宮城県出身の役者が多く登場しています。これにより、商品のイメージ向上を図っており、CMソングにも著名な曲が使用されています。2021年時点では、宝塚歌劇団によるCMが放送されており、地域に根ざしたお菓子としての存在感を強めています。

結論

萩の月は、単なるお菓子を超えた宮城県のシンボルとも言える存在です。その歴史、技術、文化との結びつき全てが、現在の成功に寄与しており、今後もその魅力を加速し続けることが期待されています。

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