萩原元克

萩原元克について

萩原元克（はぎわら もとえ、1749年12月14日 - 1805年8月3日）は、日本の国学者や歌人として広く知られる存在です。彼の生涯は、歌の技術や国学の研究に捧げられ、特に「甲斐名勝志」に代表される地誌の作成や、万葉集の研究に貢献しました。

略歴

元克は甲斐国山梨郡の一丁田中村（現・山梨県山梨市）に生まれました。彼の父は元翼と呼ばれ、国学者の加賀美光章の私塾で学ぶことで、学問の基礎を築きました。その私塾には山県大弐や春日昌預も在籍しており、元克は彼らとともに多くの知識を吸収していきました。

1772年、元克は友人たちと共に伊勢国や京都、大和国へ渡り、そこで得た歌学書を故郷に持ち帰りました。1781年には春日と共に『万葉集』の書写に取り組み、1783年には甲斐に関する総合的な地誌書『甲斐名勝志』を発表しました。1787年には本居宣長に師事し、本格的に国学の研究を進めました。57歳で亡くなった元克は、笛吹市の浄泉寺に眠っています。

歌学研究

元克の歌学に関する業績は、特に『万葉集』の筆写事業を通じて評価されています。この手による写本は「広瀬本万葉集」として知られ、一般的な仙覚系写本とは異なるもので、元克と春日昌預の存在は歌学界において注目を浴びました。しかし、元克に関する詳細な研究はこれまで少なかったのが現状です。

近年、石川博が『山梨県史』や『山梨市史』の編纂を通じて元克の業績を紹介し、彼の著作が翻刻されました。これには国学書や和歌集が含まれ、彼の多彩な研究が今なお評価されています。

著作

元克は多くの著作を残しました。彼の代表的な作品には、万葉集の難語解説書『道の柄折』や地誌の『甲斐名勝志』、さらには紀行文やその他の歌集が含まれています。特に『田中の抜穂集』は彼の短歌67首をまとめたもので、特定の時期に詠んだ作品を対象としています。これらの著作は甲州文庫に収蔵されており、今でも多くの人々に利用されています。

『甲斐名勝志』

『甲斐名勝志』は1783年に書かれた地誌で、元克の和歌研究を反映しています。この作品は、文化11年に成立した『甲斐国志』と並ぶ代表的な地誌として知られ、地元の書店や江戸の流通により広まりました。内容は古代の甲斐国の国司や地名、名所古跡などの情報で充実しており、全5巻から成ります。

『孝女久能伝』

元克はまた、寛政元年に『孝女久能伝』を刊行しました。この作品は、山梨市の久能という娘が田安家から褒章を受けるまでの経緯を描写しており、地域の文化や価値観を反映しています。

まとめ

萩原元克は日本の国学と歌学に多大な影響を与えた人物であり、その業績は今もなお研究され続けています。彼の著作や研究は、日本の文学と歴史の重要な部分を成しており、後世にわたって評価されるべきものです。

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