春日昌預

春日昌預（かすが まさやす）とは

春日昌預は、江戸時代中期に甲斐国（現在の山梨県）甲府で活躍した町人であり、歌人としても知られています。1751年に甲府の商家に生まれ、後に町年寄という役職を務めました。本名は山本金右衛門といい、これは町年寄としての名前です。春日昌預という名前は、歌人としての活動の際に使われました。

生い立ちと家系

春日昌預は、甲府八日町一丁目の商家・若松屋に生まれました。父は加藤竹亭で、彼は文化人としても知られており、酒折宮に碑文を建立した人物です。春日家は、武田氏の家臣であった春日虎綱（高坂昌信）を祖先とする家系で、武士の血を引いていることがわかります。若松屋は、呉服や薬種、香具を扱う大店で、当時としては大きな商家でした。

町年寄としての活動

春日昌預は、山本家の養子となり、町年寄見習いを経て町年寄となりました。町年寄は、町の行政を担う重要な役職であり、彼は40年以上にわたりその任を務めました。町年寄として、町の運営や住民の生活に深く関わっていたことがわかります。この間、彼は「山本金右衛門」として公務に携わっていたと考えられます。

歌人としての活動

春日昌預は、町年寄としての公務の傍ら、歌人としても精力的に活動しました。彼の歌集『丑年詠歌』は、初期の作品を集めたもので、四季折々の自然を詠んだ歌や、日常生活を題材にした歌が収められています。彼の作風は、『古今和歌集』や『新古今和歌集』の影響を受けつつも、独自の感性を発揮しています。また、晩年には年間千首以上もの歌を詠み、多くの歌集を残しました。

万葉集研究への貢献

春日昌預は、歌人としてだけでなく、万葉集の研究にも貢献しました。彼は、萩原元克とともに、京都から持ち帰られた万葉集の写本の研究を行い、その過程で発見された広瀬本万葉集は、万葉集研究に大きな影響を与えました。この写本は、藤原定家が校訂したとされるもので、現存する一般的な写本とは異なる貴重なものでした。彼が中心となって行われた写本作業は、複数の人物が関わっていたことがわかっています。

文化的背景

春日昌預が生きた時代は、甲府で町人文化が栄えた時代でした。彼の父である加藤竹亭をはじめ、多くの文化人が甲府に集まり、学芸文化が発展しました。また、春日昌預自身も、加賀美光章や山本忠吉などの文化人から学び、その影響を受けています。このような文化的背景が、彼の歌人としての活動を支えていたと考えられます。

後世への影響

春日昌預は、和歌を通して、当時の人々の生活や感情を後世に伝える役割を果たしました。彼の残した歌集は、当時の文化や生活を知る上で貴重な資料となっています。また、彼が関わった万葉集の研究は、後の研究者たちに大きな影響を与えました。彼の文化的功績は、現代においても高く評価されています。

まとめ

春日昌預は、江戸時代の甲府で、町人、歌人、そして文化人として多彩な活動を行った人物です。彼は、町年寄としての公務をこなしながら、和歌に情熱を注ぎ、万葉集の研究にも貢献しました。彼の残した歌や文化的な遺産は、現代においても私たちに多くのことを教えてくれます。

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