葛西海浜公園

葛西海浜公園について

葛西海浜公園（かさいかいひんこうえん）は、東京都江戸川区に位置し、東京都港湾局が管理する海上公園です。この公園は東京湾に面し、東西に広がる2つの人工なぎさとその周囲の水域から構成されています。陸側には葛西臨海公園があり、葛西渚橋を介して両者は結ばれています。また、葛西海浜公園はラムサール条約によって湿地として登録されており、環境保護の観点からも重要な役割を果たしています。

公園の概要

この公園は、東京湾の湾奥部分である北端に位置し、荒川と旧江戸川の河口に接しています。公園内には、干潟保護を目的としてU字型の導流堤によって造成された「西なぎさ」と「東なぎさ」の2つの人工海浜があります。西なぎさには山砂、東なぎさには浚渫砂泥がそれぞれ投入され、環境に配慮した設計がされています。西なぎさは葛西渚橋を通じてアクセス可能で、様々なイベントが行われるため、家族連れを含む多くの訪問者が集まります。特に、2012年には約50年ぶりの海水浴が復活し、人気のある白砂のビーチとして愛されています。一方、東なぎさは自然環境の保護が優先され、一般の立ち入りは禁止されています。

西なぎさと東なぎさの両方は自然干潟である三枚洲に連なっており、この三枚洲もラムサール条約の登録範囲に含まれています。ラムサール条約の登録範囲は367ヘクタールに広がり、西なぎさの沿海部と東なぎさの全域を含んでいます。この地域には、スズガモやカンムリカイツブリ、コアジサシなど、126種の鳥類が見られることも特徴の一つです。

葛西沖の歴史

昭和30年代中頃まで

かつての葛西沖には広大な干潟が広がり、「葛西海苔」の養殖やアサリ・ハゼなどの沿岸漁業が盛況でした。江戸時代の記録によれば、700年以上も前から漁業が営まれていたことがわかっています。この地域は単なる漁場だけでなく、行楽地としても人気が高く、潮干狩りや海水浴、ハゼ釣りなど、四季折々の楽しみが提供されていました。

昭和30年から45年頃

戦後の1950年代半ばから、東京への人口集中や工場排水などの影響で東京湾は汚染が進行しました。葛西地区では浸水被害が頻発し、1957年には防潮堤が建設されました。しかし、その背後では、未利用地が増え、不法投棄による環境悪化が進みます。加えて、水の汲上げによる地盤沈下も深刻で、1965年までには葛西沖の漁村が消失しました。

昭和45年以降

1960年代の終わりから1970年代にかけて、全国的に自然環境の喪失が問題視されるようになり、自然保護活動や公園整備が加速しました。1972年からの葛西沖開発事業により、復元や新土地の創造が行われ、348ヘクタールの新しい土地が整備されました。この取り組みの一環として、葛西海浜公園が設立され、三枚洲の自然環境が回復されることを目指しました。

公園は1980年に整備が始まり、1989年には開園しました。今日では、自然観察やレクリエーションの場として多くの人々に利用されています。

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