蒲田行進曲

『蒲田行進曲』

『蒲田行進曲』（かまたこうしんきょく）は、日本のナラティブアートの一形態で、著者であるつかこうへいによって作・演出された戯曲です。この作品は、1980年代に大人気を博し、その後小説や映画、テレビドラマなどさまざまなメディアに展開されて、多くの人々に親しまれています。

概要

本作は、戯曲『熱海殺人事件』『いつも心に太陽』などと並び、つかこうへいの重要な作品のひとつとして位置付けられています。物語の舞台は「新選組」の撮影が行われる京都の映画撮影所で、主人公であり土方歳三役の俳優、倉岡銀四郎（銀ちゃん）を中心に展開します。特にクライマックスで見られる「階段落ち」と呼ばれる高所からの迫力ある落下シーンは、観客に強烈な印象を与える名場面となっています。

1980年には、第15回紀伊國屋演劇賞を受賞し、その後の小説版は第86回直木賞を、映画版は第6回日本アカデミー賞など多くの賞を受賞しました。また、続編として『蒲田行進曲完結編〜銀ちゃんが逝く〜』も製作されています。

あらすじ

物語は、東映京都撮影所で行われる5年に一度の大作「新選組」の撮影から始まります。注目のシーンとして、樫の木の大階段から役者が斬られ落ちる「階段落ち」があります。このシーンには多大な危険が伴い、役者たちは一時的にスターダムに乗り上がることができますが、その裏には熾烈な努力が存在します。

主役の銀四郎が雇っている大部屋役者のヤスは、かつて恋人である女優・水原小夏と複雑な関係を持つことになります。銀四郎は小夏をヤスに押し付けながらも、自分は何も知らずに彼女を傷つけてしまう一方、ヤスは小夏との未来を築くために奮闘します。これにより、愛と友情の絡み合う複雑な人間関係が描かれています。

登場人物

作品に登場するキャラクターは多彩です。松坂慶子が演じる小夏は複雑な心情を抱える女性で、彼女の恋愛模様が物語の中心になります。一方、風間杜夫が演じる銀四郎は、高傲でありながらもどこか愛すべきキャラクターで、観客に強い印象を残します。また、平田満演じるヤスは、銀四郎に従事しつつも自らの立場で奮闘する姿が描かれます。

書誌情報と舞台上演

『蒲田行進曲』は、1980年11月に初演され、続いて1994年には続編も上演されます。これに加えて、つかこうへい自身が小説化したバージョンも出版されており、同年に直木賞を獲得して、受賞作の一つとなりました。

劇団☆新感線による1983年の上演もあり、また宝塚歌劇団によるバージョンも制作されるなど、様々な形態で上演が続けられました。

映画化と評価

本作は1982年に映画としても製作され、深作欣二が監督を務めました。映画は大ヒットを記録し、多くの映画賞も受賞しました。この成功により、角川映画の評判がさらに高まり、映画界での地位を確立する一因となりました。

文化的影響

『蒲田行進曲』は、その後の日本の演劇や映画に多大な影響を与えました。特に、制作された多くの関連商品やパロディ作品が生まれ、広く文化の中に根付いていきました。今もなお、多くのファンに愛され、影響を与え続けている作品と言えるでしょう。

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