藤原の効果

藤原の効果

藤原の効果（Fujiwhara Effect）は、二つの熱帯低気圧が約1000km以内に接近する際に見られる独特の現象です。この現象は、1921年に気象学者の藤原咲平によって提唱されました。藤原の効果によって、熱帯低気圧は互いに干渉し合い、それぞれの進路が通常とは異なる動きを示すのです。

概要

熱帯低気圧は通常、周囲の高気圧や気圧の谷の影響で移動しますが、もし近くに別の熱帯低気圧が存在すると、その風の流れが影響を与えます。具体的には、一方の熱帯低気圧の周りを反時計回りに風が流れ、別の熱帯低気圧に吹き込むため、二つの低気圧が互いに寄り合いながら複雑な動きをすることになります。この結果、接近した二つの熱帯低気圧はそれぞれに異なる進み方をすることが観察されています。

藤原の効果が発生する距離は、熱帯低気圧の大きさや強さによって異なりますが、通常は1000km以内とされています。このようなことは、大西洋やインド洋にはあまり見られず、特に北西太平洋で多く発生します。

藤原の効果の分類

この現象にはいくつかのタイプがあります:

• - 相寄り型: 弱い熱帯低気圧が強いほうに寄り添いながら衰弱し、吸収される。
• - 指向型: 一方が他の熱帯低気圧の周りを回り込むが、その影響を受けない。
• - 追従型: 一つの熱帯低気圧が移動し、その後を追うようにもう一つが続く。
• - 時間待ち型: 最初に北上した低気圧が去った後に、次の低気圧が北上する。
• - 同行型: 二つの熱帯低気圧がほぼ同じ方向に並行して移動する。
• - 離反型: 一つの熱帯低気圧が加速して移動し、もう一つがその動きに反して西へ移動する。

これらの分類は、具体的な事例を観察することで得られたもので、それぞれの現象が的確に理解されています。

藤原の効果の研究

1993年に、グレッグ・ホランドとマーク・ランダーによって、藤原の効果が単純な反時計回りの動きではなく、接近・捕獲・反時計回りの回転・解放・離脱といったプロセスを経るものであることが明らかにされました。しかし、台風同士の複雑な動きの理由には、互いの風の影響が大きいとの仮説が立てられているものの、現状ではまだ詳しく解明されていません。

実証される藤原の効果

藤原の効果を観察するうえで、実験的に水槽内で二つの水渦を形成し、その相互作用を確認したことが挙げられます。この実験は、力学的な原理が藤原効果に寄与している可能性を示唆しています。また、台風以外の低気圧や気流によっても、このような相互作用が観察されることがあります。しかし、台風以外の事例については「藤原効果」という用語はあまり使われません。

藤原の効果に関する予報用語

気象庁では、2007年に予報用語を改正し、「台風が干渉する」の代わりに「藤原の効果」を導入しました。ただし、2014年以降は、「使用を控える用語」として扱われています。

主な例

実際の藤原の効果の事例として、2005年の北西太平洋でのハリケーンや、1995年の大西洋での複数の熱帯低気圧の干渉などが挙げられます。これらは藤原の効果が見られる代表的なケースです。

藤原の効果は、台風や熱帯低気圧の予測や研究において重要な概念であり、今後も様々なデータが収集・分析され、理解が深まることでしょう。

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