血涙

『血涙 新楊家将』

概要

『血涙 新楊家将』は、北方謙三が執筆した歴史小説であり、PHP研究所から発行された『楊家将』の続編です。この作品は2005年10月から2006年9月まで雑誌「文蔵」で連載され、その後上下巻の単行本としてまとめられました。物語は、中国の伝説的講談『楊家将演義』からインスパイアを受けつつ、北方謙三独自の視点で再構築されています。

物語は遼の将軍として記憶を失った男・石幻果を中心に展開され、彼が宋の楊家軍との戦いに巻き込まれていく様子を描いています。楊家の一族が繰り広げる死闘と、その悲劇的な運命が、物語の重要なテーマになっています。全体的には京劇『四郎探母』をモチーフにしていますが、その結末は大きく異なり、北宋末期の時代背景にリンクしながら、『北方謙三 水滸伝』へとつながっていく設定となっています。

物語の背景

物語は北宋初期が舞台です。伝説的な名将・楊業が率いる楊家軍は、宋の建国に貢献し、更には北方の遼族との戦いでも戦果を上げていました。しかし、仲間の裏切りに遭い、楊業は戦死し、楊家軍は大打撃を受けます。講和が結ばれて一時は平和が訪れる中、記憶喪失の石幻果は遼軍に保護され、小さな皇族として頭角を現します。

その後、再び宋との戦争が勃発し、石幻果は再興を果たした楊家軍と対峙します。記憶喪失の彼がどのようにそれに関わっていくのか、戦の中での成長や人間ドラマが描かれています。

主な登場人物

• - 石幻果（せきげんか）：元は宋の武将で、遼との戦いで記憶喪失になる。遼の皇室に取り立てられ、楊家軍と再び対峙することになる。
• - 楊六郎延昭（ようりくろうえんしょう）：楊業の六男で、家族の仇を討つ決意を持つ。父の武器である吹毛剣を携えて戦う。
• - 耶律休哥（やりつきゅうか）：遼の名将で、石幻果の才能を見出し、彼を将軍に取り立てた。
• - 楊業（ようぎょう）：本作では故人だが、楊家軍の元を率い北宋のために戦った名将として語られる。彼の武器は後に息子に受け継がれ、物語の重要な要素となる。

書籍情報

• - 血涙 上巻 ISBN 978-4569671932（2009年4月刊）
• - 血涙 下巻 ISBN 978-4569671949（2009年4月刊）

本作は、戦いを通じた人間の強さや運命の無常さを深く掘り下げており、北方謙三作品ならではの迫力があります。

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