耶律休哥

耶律休哥（やりつ きゅうか）

耶律休哥は、遼（契丹）の時代の軍人であり、卓越した才能を持つ将軍として知られています。彼の生涯は、遼の対宋戦における数々の勝利と、民を慈しむ姿勢によって彩られています。

生い立ちと初期の活躍

耶律休哥の生年は不詳ですが、南院夷離堇の耶律綰思を父に持ちます。応暦15年（965年）には、烏古・室韋の反乱鎮圧に蕭幹の討伐軍の一員として参加し、初期から軍事的な才能を発揮しました。

対宋戦での輝かしい功績

乾亨元年（979年）、宋が燕雲十六州に侵攻すると、耶律休哥は遼軍の指揮官として出陣します。高梁河の戦いでは、耶律斜軫と協力し、宋の太宗率いる軍勢を打ち破るという大戦果を挙げました。

同年冬、韓匡嗣と耶律沙が宋を攻撃した際も、休哥はその指揮下で戦います。宋からの降伏の申し出に対し、休哥は偽りの降伏である可能性を指摘しましたが、韓匡嗣はこれを聞き入れませんでした。果たして韓匡嗣は奇襲に敗れて逃走、しかし休哥は遺棄された兵器を回収し、軍を整然と撤退させるという冷静な対応を見せました（満城の戦い）。この功績により、彼は北院大王に任じられます。

乾亨2年（980年）、景宗の親征に従い、瓦橋関で宋軍を破り、莫州まで追撃しました（瓦橋関の戦い）。この戦いの後、彼は于越に任じられます。

聖宗の時代に入ると、承天皇太后（睿智蕭皇后）が称制となり、休哥は南京留守として南面軍務を統括することになりました。統和4年（986年）には、宋の太宗が再び侵攻してくると、雄州・易州に進出してきた曹彬、米信らの軍勢と対峙。休哥は援軍が到着するまでの間、ゲリラ戦を展開して宋軍を疲弊させ、太后の軍が到着すると、宋軍を大敗させました（岐溝関の戦い）。この勝利により、彼は宋国王に封じられます。

同年冬、聖宗と太后が南征すると、休哥は先鋒を務め、劉廷譲らが率いる宋軍を破りました（君子館の戦い）。

その他の戦いと晩年

統和7年（989年）には、宋将尹継倫に敗れて負傷するという苦杯もなめています（徐河の戦い）。

遼史によれば、休哥は知略に優れ、数々の勝利を重ねたことから宋に恐れられましたが、罪のない人を殺すことはなく、戦禍で疲弊した民を案じて税を軽くし、孤児や寡婦を助け、国境地帯の安全を守ったとされています。

統和16年12月丙戌（998年12月22日）、耶律休哥は生涯を閉じました。

人物像と評価

耶律休哥は、単なる武将としてだけでなく、民を慈しみ、領土の安定に貢献した人物として評価されています。彼の知略と勇気、そして民への思いやりは、後世に語り継がれることとなりました。

もう一度検索