西武西武園線

西武園線の歴史と概要

西武園線は、東京都東村山市東村山駅と西武園駅を結ぶ、西武鉄道が運営する全長2.4kmの鉄道路線です。全線単線で、最高速度は90km/h。駅数はわずか2駅で、駅ナンバリングでは路線記号SKが用いられています。一見すると小さな路線ですが、その歴史は長く、数々の出来事が複雑に絡み合って現在の姿に至っています。

誕生から休止へ

西武園線のルーツは、西武鉄道（旧）が1915年に免許を取得した「箱根ヶ崎線」（東村山駅～箱根ケ崎駅間）にあります。しかし、長年着工されず、計画は塩漬け状態でした。1927年の多摩湖（村山貯水池）竣工と観光客増加が、状況を一変させます。武蔵野鉄道や箱根土地（後のコクド）が多摩湖への路線を建設する中、西武鉄道は1929年、箱根ヶ崎線の計画を修正。多摩湖近くの1駅間（東村山駅～村山貯水池前駅間）のみを建設し、1930年4月5日に村山線の一部として開業しました。これは、武蔵野鉄道に対抗する戦略的な措置でした。その後、箱根ヶ崎線の免許は1931年に取り消され、西武鉄道は観光路線としてこの区間を運用することになります。

多摩湖鉄道（後の武蔵野鉄道多摩湖線）との間では、激しい競争が繰り広げられました。駅名も互いに類似したものを採用するなど、対抗意識は顕著でした。しかし、第二次世界大戦の勃発により観光客は減少、競争も沈静化します。1944年5月10日には不要不急線として休止、路線は撤去されました。

戦後の復活と発展

戦後、1947年に西武鉄道が貯水池周辺の土地を取得し、「東村山文化園」の開発計画を発表。資材・人員輸送のため、1948年4月1日に西武園線は復活しました。終点駅は村山貯水池駅に戻されました。

その後、東村山文化園内に西武園競輪場が開設されることになり、競輪場へのアクセス確保のため1950年5月23日、野口信号所～西武園間が開業。西武園駅は当初臨時駅でしたが、東村山文化園の開発と共に重要性を増し、1951年3月1日、村山貯水池駅を統合し常設駅となりました。野口信号所～村山貯水池間は同時に廃止されました。翌1952年3月25日には、村山線から分離し西武園線として独立しました。

現在の西武園線

現在、西武園線は東村山駅～西武園駅間の線内運転のみです。日中は毎時3本、朝夕は4～5本の列車が運行されています。ワンマン運転は実施されていません。かつては国分寺線への直通運転もありましたが、2022年3月12日のダイヤ改正で廃止されました。多くの列車は東村山駅で国分寺線や新宿線の列車に接続しています。

使用車両は主に2000系・新2000系で、4両編成が中心です。過去には、新101系、9000系なども運用されていました。また、東村山駅の高架化工事も進められています。

まとめ

西武園線は、ライバル会社との競争、戦争、そして地域開発という波乱万丈の歴史を経て現在の姿となりました。短い路線ながら、その歴史は豊かで、日本の地方鉄道の変遷を象徴する存在と言えるでしょう。今後も、西武園エリアの活性化に貢献していくことが期待されます。

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