角川文庫

角川文庫について

角川文庫（かどかわぶんこ）は、株式会社KADOKAWAが運営する文庫レーベルで、1950年に現在のA6判に変更されて以来、日本の文壇で重要な役割を果たしてきました。創始者の角川源義は、当初から文芸路線を採用し、夏目漱石や森鷗外、さらには古典文学の『源氏物語』や『平家物語』などを広く取り扱っていました。これにより多くの日本文学の名作が多くの人々に親しまれることとなりました。

歴史の変遷

しかし、同社の方針は1950年代末に源義の長男、角川春樹が社長に就任した後、急激に変化しました。彼は「大衆路線」を掲げ、推理小説やSF小説を中心に多くの新作を発行し、結果的に文庫全体のイメージを一新しました。この変化によって、角川文庫は単なる文芸書ではなく、エンターテインメントとしての側面も強まります。

春樹が麻薬事件で逮捕された後は、弟の角川歴彦が社長に就任し、大衆路線を維持しながらも、過去の古典作品の復刊も試みました。これにより、現代の読者たちにも再び古典の魅力が伝わるようになり、角川文庫は現在に至るまでの強固な地位を築きました。

ISBNと整理番号の変更

整理番号の管理も数回にわたり行われ、著者名を50音順にする変更が特に顕著です。しかし、古くから設定された6桁のISBNコードを基にしたシステムのおかげで、多くの古典作品の復刊がスムーズに行える環境は整っています。発行点数は1万を超えており、それに伴い絶版や長期間の品切れ作品も多数存在しています。中でも、日本の古典作品は角川文庫にしか文庫版がないものも多く、古書店において高値がつくことも少なくありません。

角川商法とメディアミックス

さらに、70年代後半から採用された「角川商法」は、角川文庫の発展において重要な要素です。春樹が当時の社長に就任した際、「ロングセラー古典の廉価版」というイメージからエンターテイメント中心へと路線を変更しました。自社で発行する小説を原作にした映画製作とその大規模宣伝により、書籍と映画が相互に影響し合うメディアミックスを実現しました。この手法は、森村誠一の『人間の証明』や横溝正史の『犬神家の一族』などの作品で大成功を収め、特に1976年、1977年には両者が大ヒットを記録しました。

分類とキャラクター

角川文庫では、現在は著者名の50音順による整理が行われており、様々な帯色によってジャンルが明示されています。「緑帯」は現代日本文学、「青帯」は少年少女向けの作品、「赤帯」は外国文学、「黄帯」は古典文学を表しています。また、文庫には独特のキャラクターも存在し、カバの形をした「ディスくん」や、新しい発見をするたびに鼻が「！」に変わる「ハッケンくん」など、親しみやすい象徴が多彩です。

まとめ

このように、角川文庫はその発足以来、日本の文学シーンの中で独自の地位を確立し、時代に応じた柔軟な運営を続けています。文庫化作品の多様性や、エンターテインメントとの融合など、今後もますます注目を集めていくことでしょう。

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