詐病

詐病とは

詐病（さびょう、Malingering）は、金銭や社会的な利益を得るために病気を偽る詐欺行為を指します。この行為は、意図的に病状を訴えかけることで、経済的な利益を不正に享受しようとするものです。

詐病の特徴と仮病との違い

詐病は、短期的な利得を得るための仮病とは異なり、長期的な利益を目的とすることが多いです。仮病は突発的な理由で行われることが多く、その場しのぎの行動ですが、詐病はより計画的であり、実利を伴うことが特徴です。また、虚偽性障害に関連することが多く、精神的な病が背景にある場合もあります。

DSM-5における詐病

精神疾患の診断と統計マニュアル（DSM-5）では、詐病に関する具体的な記述があります。詐病は、個人的な利益を得るため主観的に病状を訴える行為であり、作為症（故意に症状を偽って報酬を得ること）とは異なるとされています。作為症では明示的な報酬が存在しないため、詐病はこれと明確に区別されています。

詐病の動機

詐病を行う動機は多岐にわたります。

• - 経済的な詐欺行為: 保険金や社会保障の不正受給のために行うことがあります。実際には痛みや苦痛が存在するものの、その程度を過剰に申告することで、余分な保険金を得ようとするケースも見られます。
• - 社会的な義務の免除: 兵役義務のある国では、詐病を用いて免除を求めることもあります。横綱や重要な会議に出席する必要がある要人が、病気を理由に欠席する場合もこの一例です。
• - 犯罪行為の隠蔽: 精神的な障害を装うことで、犯罪の責任を逃れようとする事例も数多く存在します。

詐病に利用される病状

詐病のために利用されやすい病気には、自己申告のみで症状が確認されるものが多いです。具体的には、頸椎捻挫や視覚障害、聴覚障害、精神病などが挙げられます。また、尿検査で異物を混入させることで、検査結果を操作することも行われます。最近では、韓国において兵役逃れのために腎臓疾患を偽装するための薬品が流通する問題も報告されています。

半仮病

詐病とは異なる概念として、半仮病があります。これは、危機的な状況に際して心因性の病気を発症させることで、自身を守ろうとする自己防衛の一種です。

詐病を扱った文化作品

詐病を題材にした作品も多く存在します。例として、ケン・キージーの小説『カッコーの巣の上で』や、映画『39 刑法第三十九条』などが挙げられます。これらの作品では、詐病の心理や影響が描かれ、観客や読者に深い印象を与えています。

まとめ

詐病は、経済的な利益や社会的な義務の免除を求めるために行われる行為ですが、その背後には複雑な心理が隠れています。また、詐病の持つ社会的問題も無視できません。診断や治療の難しさもあり、これらの問題についての認識を深めることが重要です。

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