誤審

スポーツにおける誤審とは

スポーツにおける誤審とは、審判員が試合中に誤った判定を下すことを指します。これは、野球、サッカー、テニスなどの球技に限らず、柔道や相撲などの格闘技、陸上競技や競馬といった競走競技、さらにはフィギュアスケートのような採点競技においても発生する可能性があります。

誤審の原因

誤審の背景には、以下のような要因が考えられます。

審判員が人間であること：審判員も人間である以上、間違いを犯す可能性があります。特に、選手の技術向上に伴い、審判員にもより高度な判定能力が求められるようになっています。
審判員の独立性の欠如：ホームタウンディシジョンや政治的圧力など、審判員が十分に独立していない場合、誤審が発生しやすくなります。特に、フィギュアスケートや体操競技のような「美しさ」を評価する採点競技では、出場選手の国籍によって採点に偏りが生じることが指摘されています。
競技の特性：審判の判断が難しい競技や、抽象的な評価が求められる競技では、誤審が起こりやすい傾向があります。例えば、フィギュアスケートでは、「国と国との裏取引」が行われていると指摘されることもあります。
金銭的誘惑：ワールドカップやオリンピックなどの大規模な大会では、審判員への賄賂が横行し、開催国に有利な判定が下されることもあります。

誤審の影響

誤審は、スポーツの公平性を損なうだけでなく、ファンや選手に大きな不満をもたらします。特に、人気スポーツや賭博行為が絡む競技では、誤審が暴動や訴訟、騒乱事件に発展することもあります。また、誤審が発覚した場合、該当の審判員には厳重注意や罰金、出場停止などのペナルティが科せられるのが一般的です。場合によっては、審判員が職を辞さざるを得なくなることもあります。

誤審への対策

誤審をなくすために、スポーツ界では以下のような対策が講じられています。

審判員の増員と質の向上：副審の配置や審判員のランク付けなどにより、審判員の数を増やし、質の向上を目指しています。
ビデオ判定の導入：ビデオ判定によって、微妙な判定や抗議があった場合、映像で確認することが可能になりました。これにより、判定が覆ることもあります。
判定基準の明確化：ユニフォームの特徴付けやルール改定などによって、判定基準を明確化し、誤審を防ぐように努めています。

ビデオ判定

MLB、NFL、大相撲など、多くのスポーツでビデオ判定が導入されています。NFLでは、かつてインスタントリプレイ制度がありましたが、試合時間の延長を招くなどの理由から廃止され、チャレンジ制度に改められました。日本プロ野球では、ホームラン性の打球の判断に限定して導入されていましたが、2018年からはメジャーリーグと同様のリクエスト制度が導入されました。柔道では、2000年シドニーオリンピックでの誤審問題以降、ビデオ判定が導入されています。

しかし、ビデオ判定も人の目による判断であるため、完全に誤審を防ぐことはできません。例えば、プロ野球では、ビデオ判定を経ても本塁打が三塁打とされたり、MLBではビデオ判定員の見落としによって誤審となるケースもあります。

機械による判定

プロテニスの一部大会では、「ホークアイ」と呼ばれる映像からのボール軌道計算による自動判定システムが導入されています。また、フェンシングでは電気審判機が使用されています。

高次の審判員

大相撲では、行司の判定を審査する勝負審判が置かれています。かつては、行司の判定を巡る協議は肉眼判定のみでしたが、1969年の大鵬-戸田戦での世紀の誤審をきっかけにビデオ判定が導入されました。しかし、2019年の栃ノ心-朝乃山戦では、ビデオ判定を導入後にも関わらず、審判の判断が優先されたため、誤審の指摘が続出しました。

審判員の匿名化

フィギュアスケートでは、ISUジャッジングシステムによって、採点の一部をダミー判定とし、審判員の匿名化を行うことで、賄賂や政治的圧力から審査を独立させようとしました。しかし、このシステムは効果がないと指摘され、2016年6月に匿名制度は廃止されました。

判定基準の明瞭化

柔道では、青色の柔道着を導入することで、テレビ観戦での見やすさを向上させ、誤審を減らす試みが行われています。

アマチュア スポーツと誤審

学生スポーツでは、誤審や誤審に対する抗議が公になることは少ないですが、全くないわけではありません。例えば、高校野球では、誤審が勝敗を左右することもあります。高校の試合では、高野連が推奨する「高校生らしい態度」から、試合中に抗議が行われることはほとんどありませんが、試合後に教育委員会に抗議が行われた結果、誤審が発覚し、高野連が謝罪したケースもあります。

2015年の全国高等学校ハンドボール選抜大会では、誤審が原因で準々決勝の勝敗が覆り、決勝戦が中止となり、両校優勝、準決勝敗退の2校と誤審により敗退した学校を3位とする措置がとられました。

まとめ

スポーツにおける誤審は、避けられない問題ではありますが、さまざまな対策を講じることで、その発生を減らすことができます。審判員も人間である以上、誤審を完全に無くすことは難しいですが、常に公平で正確な判定を目指すことが重要です。

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