調停委員

調停委員とは

調停委員とは、民事調停、家事調停、労働争議の調停など、様々な分野における調停手続きにおいて、当事者間の合意形成を支援する役割を担う専門家です。調停委員会を構成し、紛争解決に向けて中立的な立場から助言や調整を行います。

民事調停・家事調停における調停委員

資格と任命

民事調停と家事調停における調停委員は、人格識見が高く、40歳以上70歳未満の者の中から、最高裁判所によって任命されます。ただし、特別な事情がある場合は、年齢制限の例外が認められることもあります。任期は2年です。

以下のいずれかに該当する者は、調停委員になることができません。

禁錮以上の刑に処せられた者
公務員として懲戒免職処分を受け、処分日から2年を経過しない者
裁判官として弾劾裁判所の罷免判決を受けた者
弁護士、公認会計士などの特定の専門職で、懲戒処分により資格を失った者
医師または歯科医師の免許を取り消され、再免許を受けていない者

調停委員がこれらの欠格事由に該当した場合、最高裁判所は解任しなければなりません。また、心身の故障により職務遂行が困難な場合や、職務上の義務違反などがあった場合も、解任されることがあります。

民事調停委員

民事調停委員は、地方裁判所や簡易裁判所で行われる民事調停に関与します。調停委員会は、調停主任1名と民事調停委員2名で構成され、非常勤の国家公務員として活動します。主な役割は、調停委員会での調停手続きへの参加、裁判所からの依頼による専門的意見の提供、意見聴取、その他調停事件の処理に必要な事務です。

家事調停委員

家事調停委員は、家庭裁判所で行われる家事調停に関与します。調停委員会は、裁判官1名と家事調停委員2名で構成され、非常勤の国家公務員として活動します。主な役割は、調停委員会での調停手続きへの参加、事実調査、他の裁判所からの意見聴取の嘱託への対応、専門的意見の提供です。

労働争議の調停における調停委員

労働争議の調停は、労働委員会が設置する調停委員会によって行われます。調停委員会は、使用者を代表する調停委員、労働者を代表する調停委員、公益を代表する調停委員で構成されます。使用者側と労働者側の委員は同数でなければなりません。

調停委員の任命をめぐる問題

調停委員の任命に関しては、国籍条項は法律や規則には明記されていませんが、最高裁判所は、調停委員が公権力を行使する公務員であること、調停調書が確定判決と同等の効力を持つこと、調停委員会への不出頭者に過料が科せられる場合があることから、調停委員を日本国籍を有する者に限定しています。この方針に対し、弁護士会は国籍による差別であると反発しています。

過去には、台湾籍の弁護士が調停委員を務めた例もありますが、最高裁判所はこれを特例として扱い、今後の先例にはならないとしています。

関連項目

裁判所職員
司法委員

外部リンク

民事調停委員及び家事調停委員規則

調停委員は、紛争解決において重要な役割を果たす専門家です。その活動は、公平かつ円滑な紛争解決を促進し、社会の安定に貢献しています。

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