調布国際音楽祭

調布国際音楽祭（CIMF）

調布国際音楽祭（正式名称：ちょうふこくさいおんがくさい、英語名称：Chofu International Music Festival、略称：CIMF）は、東京都調布市で毎年夏を迎える時期に開催される、クラシック音楽を中心とした音楽祭です。この音楽祭は、調布市と公益財団法人調布市文化・コミュニティ振興財団が共同で主催しており、調布市グリーンホールを主要な会場としています。

特徴と理念

本音楽祭は、「バッハの演奏」「アートとの連携」「次世代への継承」という三つの重要なテーマを活動の柱としています。歴史ある深大寺での特別なコンサートをはじめ、子どもたちが音楽に親しむ機会を提供する公演、そして国内外から若き才能が集結して編成されるフェスティバル・オーケストラなど、多岐にわたるプログラムを展開しています。調布市には桐朋学園大学という音楽大学が存在するため、比較的音楽家の人口が多く、地域住民が演奏に参加するなど、地元ならではの特色を活かした音楽祭となっています。

歴史

音楽祭の始まりは、1988年（昭和63年）以前に遡ります。この頃は「ちょうふ音楽祭」という名称で知られ、1988年には既に第2回が開催されていたことが確認されています。2010年（平成22年）から2012年（平成24年）にかけては、ポピュラー音楽に焦点を当てた派生イベント「ちょうふ音楽祭 LIVE PLUS+」も並行して実施されていました。

転機が訪れたのは2010年です。古楽演奏団体として名高いバッハ・コレギウム・ジャパン（BCJ）を率いる鈴木雅明氏が調布市に在住している縁から、BCJと調布市文化・コミュニティ振興財団の間で連携協定が締結されました。この連携のもと、2013年（平成25年）には鈴木雅明氏のご子息であり、自身も音楽家である鈴木優人氏が総合プロデューサーに就任。森下唯氏と共にプロデュースを務め、プロジェクト委員会が発足し、名称を「調布音楽祭」と改め、本格的なクラシック音楽祭へと性格を大きく変えました。

クラシック音楽祭としての歩みを始めた「調布音楽祭」時代には、いくつかの画期的な取り組みが行われました。2015年（平成27年）には、初めて深大寺の本堂という趣のある空間でのコンサートが企画され、大きな話題を呼びました。同年には、世界的な指揮者ミハイル・プレトニョフ率いるロシア・ナショナル管弦楽団を招聘し、質の高い演奏を届けました。さらに、2016年（平成28年）からは、音楽大学の学生をはじめとする若手演奏家を公募によって集め、特別に編成される「フェスティバル・オーケストラ」の企画がスタート。次世代育成の重要な柱の一つとなりました。

そして、2017年（平成29年）に、名称を現在の「調布国際音楽祭」に改称し、平野敬子氏による新しいエンブレムが導入され、国際色をより一層強めました。近年では、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、2020年（令和2年）にはオンライン形式での開催を余儀なくされました。この際は、一時的に名称を「@調布国際音楽祭」とし、運営資金の一部をクラウドファンディングで賄いながら、コンサートの無料配信を実施しました。困難な状況下でも音楽を届ける努力がなされました。2022年（令和4年）には、日本のトップオーケストラであるNHK交響楽団が初出演を果たしたほか、ショパン国際ピアノコンクールで入賞した小林愛実氏や、新進気鋭のピアニスト角野隼斗氏など、国内外で活躍する若手実力派音楽家が多数出演するなど、常に新しい試みを取り入れながら発展を続けています。

開催期間と主な公演

2013年にクラシック音楽祭として再出発して以降、開催期間は初期の2日間から徐々に延長され、近年は9日間程度にわたって実施されています。主な公演形式としては、調布市グリーンホール大ホールでの「オープニング・コンサート」、小ホールでの「ミュージックサロン」、グリーンホールのテラスや調布駅前広場での「ウェルカムコンサート」、そして先に述べた「フェスティバル・オーケストラ」公演などがあります。子ども向けの参加型プログラム「たたいてあそぼう」なども人気を博しています。

主な会場

音楽祭の会場は多岐にわたりますが、特に以下の施設が利用されています。

調布市グリーンホール
調布市文化会館たづくり
深大寺本堂
調布市せんがわ劇場

調布国際音楽祭は、地元の豊かな音楽環境を活かし、質の高いクラシック音楽を核としながらも、多様な世代や関心を持つ人々が楽しめる企画を通じて、地域文化の振興に貢献しています。

もう一度検索