買取専門店

買取専門店（かいとりせんもんてん）

概要

買取専門店とは、その名の通り、商品の「買取」に特化した中古品売買業のビジネスモデルを指します。店舗での販売は行わず、利用者から持ち込まれた品物を査定し、買い取ることを主な事業としています。この形態は、近年におけるリユース市場の活況や、2020年代に入ってからの金価格の急騰といった社会情勢を追い風に、店舗数を大幅に拡大させています。

ビジネスモデルと取扱品目の多様化

買取専門店の基本的な収益構造は、利用者から買い取った品物を、本部や外部の専門業者へ売却することによって成り立っています。かつて、この業態の主な取扱品目は、金やプラチナといった貴金属、または古着や古本などが中心でした。しかし、2010年代後半からはその範囲が大きく広がり、商品券、携帯電話、スマートフォン、さらには釣り具、楽器、家具、ゲーム機、パソコン、酒類など、多岐にわたる品目が買取対象となっています。

店舗の名称も、「リサイクルショップ」や「ブランド品買取り店」など多様化しており、買取を主体としながらも、買い取ったブランド品やチケットの一部を店頭で販売するといった、小売機能を併せ持つ業者も現れています。

質屋との違い

中古品を扱う業種として、買取専門店と似た形態に「質屋」がありますが、両者にはいくつかの明確な違いがあります。

まず、営業に必要な許認可が異なります。買取専門店は「古物商」の許可があれば営業できますが、質屋を営むには、営業所ごとに管轄の都道府県公安委員会から「質屋営業許可」を取得する必要があります。

取引の性質も異なります。質屋では、品物を預けてお金を借り、期限内に元金と利息を支払えば品物を取り戻す（質受け）ことができます。一方、買取専門店での取引は「売却」にあたるため、一度買い取られた品物を後から買い戻すことはできません。

さらに、店舗数の推移においても対照的な傾向が見られます。警察庁の調査によると、質屋の数は2012年から2021年までの9年間で約2割減少しています。これに対し、買取専門店は急速に増加しており、特にフランチャイズ形式での全国展開が活発です。例えば、「おたからや」を運営するいーふらんのチェーン店舗数は、2024年時点で約1,300店に達し、チェーン全体の売上高は700億円を超える規模となっています。

市場動向と主要企業

リユース経済新聞の調査によれば、国内の主要リユース企業のうち、買取専門店を主軸とする企業が多数上位にランクインしており、業界全体の成長を牽引しています。全国規模でチェーン展開を行う企業が多く、フランチャイズ形式で短期間に店舗網を拡大させるケースが目立ちます。

日本の主な買取専門店としては、1300店以上を展開し業界最大手とされる「おたからや」（いーふらん）、それに次ぐ規模の「買取大吉」（エンパワー）があります。その他にも、質屋とリユースショップを兼ねる「かんてい局」や、ブランド品から日用品まで幅広く扱う「エコリング」、そして「ザ・ゴールド」「さすがや」「なんぼや」といった数多くの企業が全国で事業を展開しています。

また、前述の通り、小売を主体とする事業者が買取専門店を出店したり、買取専門店が一部小売を手がけたりするなど、業態の融合といった動きも活発化しています。この傾向は、消費者のリユースに対する関心の高まりと、多様なチャネルで商品を取り扱い、販路を広げたいという事業者の思惑が一致した結果と言えるでしょう。

買取専門店は、不要になった品物を手軽に現金化できる手段として、現代社会において重要な役割を果たしています。

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