越前たけふ農業協同組合

JA越前たけふ：地域に根付く農業協同組合の挑戦

福井県越前市に本店を置くJA越前たけふは、その名の通り越前市と南越前町を管轄区域とする農業協同組合です。通称はJA越前たけふとして親しまれ、地域農業を支える重要な役割を担っています。

JA越前たけふは、2020年4月に実施された福井県内JAの合併には参加せず、単独での存続を選択しました。これは、合併構想が発表された2019年に組合員に対して行われたアンケートで、反対意見が65％に上ったこと、そして臨時理事会での投票で合併反対が圧倒的多数を占めた結果によるものです。この決断は、JA越前たけふが地域に密着した独自の運営を重視し、独自の道を歩むことを選択したことを示しています。

JA越前たけふの事業規模は相当なもので、2013年12月31日時点での出資金残高は28億379万円、貯金は1,031億413万円、貸出金は340億5,308万円に上ります。また、販売品取扱高は26億1,205万円、長期共済保有契約高は5,295億6,067万円と、地域経済に大きな貢献を果たしています。

JA越前たけふが扱う農産物の中でも、特に注目すべきは『越前しきぶ姫』というブランドの玄米です。この玄米は、食味値と整粒歩合を一袋ずつ表示するという徹底ぶりで、品質へのこだわりを明確に示しています。消費者に安心と信頼を提供することで、地域ブランドとしての価値を高めています。

JA越前たけふは、時代の変化に対応するため、事業構造改革にも積極的に取り組んでいます。2011年には、肥料、農薬、農機具、ガソリンなどの販売事業を100％出資の子会社である株式会社コープ武生へ譲渡することを決定しました。これにより、JAは農業支援事業に注力し、子会社は経済事業の効率化を図ることで、それぞれが強みを活かした運営を実現しています。

その経営努力が評価され、2017年には週刊ダイヤモンド誌で発表された『全国JA生存ランキング』で1位を獲得しました。これは、JA越前たけふが地域に密着した経営、効率的な事業運営、そして組合員との良好な関係を築き上げてきた結果と言えるでしょう。

株式会社コープ武生はJA越前たけふの完全子会社として、農業資材、機械、燃料の販売、給油所事業、そしてスーパーマーケット事業（コープたけふ）を展開しています。名前から生活協同組合を連想するかもしれませんが、株式会社であり、日本[[生活協同組合連合会]]には未加入です。CGC加盟の協同組合ハニーと業務提携を行い、地域社会との連携も強化しています。また、コープたけふ平出店はローソンとの共同店舗としてリニューアルオープンするなど、新たな取り組みにも挑戦しています。

1996年に武生・南条・今庄・河野の各農協が合併して誕生したJA越前たけふは、合併を機に新たなスタートを切り、幾多の困難を乗り越え、現在に至っています。地域農業の活性化、そして地域社会の発展に貢献し続けるJA越前たけふの今後の取り組みにも注目が集まります。

もう一度検索