足利持氏

足利持氏 (あしかが もちうじ)

足利持氏は、室町時代の武将であり、第4代鎌倉公方として1409年から1439年まで在職しました。彼は、第3代鎌倉公方である足利満兼の子で、若くして公方の地位に就いた運命の持ち主です。

幼少期から公方就任まで

持氏は、1409年7月に父が亡くなった後、9月に鎌倉公方に就任しました。新しい地位に就いたものの、まだ幼かったため、関東管領の上杉憲定の援助を受けて政務を行いました。しかし、1410年には叔父の足利満隆から反乱の噂が立ち、持氏は一時的に上杉憲定の屋敷に逃げ込む騒ぎが起きました。この騒動は、最終的に彼の異母弟乙若丸を満隆の養子とすることで和解に至ります。

その後、持氏は元服し、室町幕府の将軍・足利義持より「持」の字を賜って、名を持氏に改めました。彼の治世下では、1413年に奥羽地方で反乱が起きましたが、持氏は奥州の武士たちを集めて鎮圧に成功しました。しかし、この成功とともに、彼は次第に関東管領の上杉氏憲を疎外するようになり、彼と満隆との対立が激化しました。

将軍との対立と反乱

その後、持氏は周囲の置かれている状況から関東管領が辞職したことにより、政権が揺らぐことになります。持氏と上杉憲基の関係が悪化し、1416年に持氏は一時的に鎌倉を追われる事態になります（上杉禅秀の乱）。しかし、この反乱はすぐに鎮圧され、持氏は鎌倉に戻ります。

持氏の統治時代には将軍と鎌倉公方との緊張が高まる一方で、1423年には京都の扶持衆との小栗満重の反乱を鎮圧しました。これに対抗する形で、将軍側は持氏の討伐を計画しますが、持氏の謝罪により事なきを得ました。それでも、持氏と幕府との間の対立は深刻さを増していきました。

永享の乱と持氏の最期

1438年には持氏の嫡子賢王丸が元服を迎える際、持氏は慣例を無視して独自の意向を示します。これが持氏と関東管領の憲実との決定的な対立を引き起こしました。持氏は憲実に討伐軍を向けますが、将軍・義教は持氏の抑圧を目的とした自らの軍を派遣しました。持氏の軍は敗北し、彼は孤立した状態で永安寺に逃れることになります。

永享11年、憲実が持氏の討伐命令を受け、持氏は自害を選びました。彼の死により鎌倉公方は一旦滅亡し、持氏の子供たちもその後の混乱の中で命を落とします。しかし、彼の遺児は後に蜂起し、鎌倉公方の名が再興される兆しを見せましたが、その後も多くの歴史的な事件に巻き込まれていくことになります。

官歴と系譜

持氏は1410年に元服し、従四位下に叙任されました。その後、従三位に昇進し、左兵衛督に任官されるなど、武士としてのキャリアを重ねていきます。持氏の家族については、母は一色氏、弟には足利持仲がいます。子供たちには、義久をはじめ、春王丸や安王丸、成氏らがいます。持氏の影響を受けた武士たちも多く存在し、彼は数多くの人物に偏諱を与えました。

持氏の生涯は、武士としての栄光と悲劇を象徴するものです。彼の時代には、権力の座を巡る争いが激化し、またそれに伴い持氏自身も幾度となく危機に見舞われました。そして、彼の自害による一時的な公方の滅亡は、鎌倉時代の武士社会の変遷を如実に物語るものであったといえます。

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