通学帽

通学帽とは

通学帽は、主に児童や生徒が学校に通学する際に着用する帽子のことを指します。その種類や着用目的は、学校の種別や地域、時代背景によって大きく異なります。

黄色い帽子の誕生

特に小学校でよく見られる黄色い帽子は、1960年代に和歌山県で、交通安全のために考案されました。当時、和歌山西警察署の坂下敏郎警部補が、西部劇のカウボーイの帽子からヒントを得て、黄色い帽子を提案。和歌山市教育委員会や保護者の協力を得て普及しました。この功績により、坂下警部補は内閣総理大臣から表彰を受けています。この黄色い帽子の誕生の背景は、和歌山県警交通センターの資料展示室で知ることができます。

小学校における通学帽

小学校では、通学帽は主に以下の目的で使用されます。

交通事故の防止: 黄色は視認性が高く、特に1年生など交通に不慣れな児童を保護する役割があります。
学年の識別: 学校によっては、学年ごとに帽子の色を変えることで、児童の学年を判別しやすくします。
* 熱中症対策: 日よけとして、帽子の着用が推奨されることもあります。

学年ごとの色分けは、1年生のみ黄色い帽子を着用させ、2年生以上は別の色にする場合や、毎年色を変えずに、6年間で同じ色の帽子を使い回すケースもあります。また、男女で帽子の形状や色を変える学校もあれば、性自認に配慮して男女の区別をなくす学校もあります。

高度経済成長期には、自動車の通行量増加に対し、歩道の整備が追いついていないとして、通学時にヘルメットを着用させる学校も存在しましたが、現在ではほとんど見られません。1990年代半ば以降は、学校が通学帽の着用義務を廃止する傾向にあります。一方で、私立や国立の学校では、学生帽やベレー帽などを制帽として採用しているところもあります。

通学帽を採用していない学校では、体育の授業で使用する紅白帽を通学帽の代わりに使っている場合もあります。紅白帽は、赤を通学時、白を体育授業時と使い分けることが多いです。

中学校・高等学校における通学帽

昭和30年代までの中高生男子は、丸刈りに学生帽を着用するのが一般的でした。しかし、1960年代の学生運動以降、長髪が解禁され、学生帽を着用する生徒は減少しました。中学校でも同様に、丸刈り強制の校則が廃止され、制服がブレザーに変わる学校が増えたことで、学生帽の着用はほとんど見られなくなりました。ただし、一部の私立女子校などでは、ブリムハットやベレー帽を制帽として制定している学校があり、式典や行事などで着用が義務付けられています。

大学における通学帽

かつては大学生も学生服を着用し、角帽などの帽子をかぶっていましたが、現在では体育会系や応援団の学生以外には見られなくなりました。

まとめ

通学帽は、時代や社会の変化と共に、その役割や形状を変えてきました。交通安全や学年識別といった実用的な目的だけでなく、学校の歴史や文化を象徴するものでもあります。現代では着用が義務付けられている学校は減ってきていますが、通学帽が持つ歴史的な背景や意味は、今後も語り継がれていくでしょう。

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