遠州信用金庫

遠州信用金庫（えんしん）

静岡県浜松市中央区に本店を構える遠州信用金庫は、「えんしん」の愛称で広く知られている信用金庫です。この金融機関は、1971年4月に、地域の金融機関であった引佐信用金庫と浜名信用金庫という二つの信用金庫が合併したことにより設立されました。以来、地域社会の発展に貢献することを使命として、多岐にわたる金融サービスを提供し続けています。

概要

遠州信用金庫の営業基盤は、本店が所在する静岡県西部地域を中心に構築されており、具体的には浜松市、磐田市、湖西市、袋井市、周智郡をカバーしています。さらに、2005年7月からは掛川市も営業エリアに加えられました。また、地理的な近接性から、隣接する愛知県の豊橋市も1976年6月より営業地区としており、静岡県西部から愛知県東部にわたる広範な地域経済を支える役割を担っています。

顧客の利便性向上にも積極的に取り組んでおり、特にATMネットワークにおいては、他の信用金庫や静岡銀行のキャッシュカードを利用した現金の引き出しや預け入れ取引において、多くの信用金庫が他行扱いとなる場合でも、遠州信用金庫のATMでは自社のキャッシュカードを利用する際と同様の手数料が適用されるという特徴があります。これは、地域の金融機関との連携を重視しつつ、利用者にとってより利用しやすい環境を提供するための配慮と言えます。

沿革

遠州信用金庫の豊かな歴史は、その前身である引佐信用金庫と浜名信用金庫それぞれの歩みから始まります。

引佐信用金庫の前身である気賀信用組合は、1950年3月に引佐郡気賀町（現在の浜松市浜名区細江町）に設立されました。当初は引佐郡を営業地区としていましたが、1952年9月に引佐郡信用組合へと名称を変更し、翌1953年3月には信用金庫法に基づく引佐信用金庫へと組織転換しました。その後、事業拡大に伴い、1964年11月には浜名郡、浜松市、そして当時の浜北市を新たな営業範囲に加えました。

一方、浜名信用金庫の起源は、1951年6月に浜名郡中野町村（現在の浜松市中央区）に浜名信用組合として設立されたことにさかのぼります。こちらも当初は浜名郡を主な営業地域としていました。1952年6月には信用金庫に改組され浜名郡信用金庫となり、1963年8月には現在の名称である浜名信用金庫へと商号を変更しました。引佐信用金庫と同様に、1964年11月には営業地区を拡大し、浜松市、浜北市、引佐郡を業務区域に含めました。さらに、1967年7月には本店を浜松市内の和田町に移転し、1969年10月には磐田市、天竜市、磐田郡へと営業エリアを広げていきました。

そして、地域の金融業界における再編の動きの中で、1971年4月にこの二つの歴史ある信用金庫、引佐信用金庫と浜名信用金庫が合併し、現在の遠州信用金庫が誕生しました。合併後も積極的な事業展開は続き、1972年7月には袋井市と周智郡を、1976年6月には県境を越えて愛知県の豊橋市を営業地区に加え、その活動範囲をさらに広げました。

組織体制の強化も図られ、1973年4月には本店を現在の浜松市中沢町へと移転しました。2000年2月には本店新館を建設し、お客様が気軽に相談できる窓口として相談センターを設置するなど、顧客サービスの向上に努めました。また、地域経済の持続的な発展をサポートするため、2003年11月には地元の経営者向けの会員組織「えんしん経営者クラブ」を発足させ、交流や研鑽の機会を提供しています。環境保護への取り組みも重視しており、2005年3月には本部や本店などが環境マネジメントシステムの国際規格であるISO 14001の認証を取得しました。

このように、遠州信用金庫は二つの前身信用金庫が培ってきた地域への貢献という理念を引き継ぎつつ、時代の変化に適応しながら、営業基盤の強化とサービス品質の向上を図ることで、地域の皆様と共に歩み続けています。

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