金剛代艦

金剛代艦（こんごうだいかん）

金剛代艦は、ワシントン海軍軍縮条約により戦艦建造が禁じられた期間が終了した頃、艦齢20年を迎える金剛型巡洋戦艦の後継として計画された艦艇です。金剛は1933年に艦齢20年を越え、条約の規定に基づき代艦の建造が可能になったことから、1934年を目標に建造が進められることになりました。しかし、ロンドン海軍軍縮条約の締結により主力艦の建造は延期され、この艦は実現しませんでした。

背景

第一次世界大戦後、日本を含む各国は新しい艦船の建造を急ぎました。日本海軍もさらなる主力艦の更新を目指し、多くの計画が立案されました。具体的には、八四艦隊案や八六艦隊案を経て、八八艦隊によって金剛型の後継艦を作る計画が進められていました。しかし、ワシントン海軍軍縮条約の締結により、新型巡洋戦艦や超弩級戦艦の建造が制約され、結果的に後継艦の建造は中止され、金剛型の代艦は見ることができませんでした。

しかし、艦齢20年以上の艦を持つ国においては、条約の範囲内で代艦の建造が認められました。この狭間を利用して、日本海軍は金剛の後継艦建造の検討を本格化させました。

計画の詳細

1924年に軍令部が艦政本部とともに主力艦の性能について議論を始めた結果、将来の主力艦には41cm砲を装備し、速力は26ノット程度を目指すことが示唆されました。また、1926年7月には、「巡洋戦艦より速力を持つ戦艦」を目指す方針が固まりました。さらに1928年には、岡田啓介海軍大臣に対し、排水量35,000トンの41cm砲12門装備艦の整備が提案されました。

このようにして具体的な設計が進められたものの、アメリカが巡洋戦艦の建造を行わないという予測から、日本海軍は火力重視の設計へと方針を転換しました。この結果、金剛代艦は主に砲火力に重きを置いた設計となり、最終的に41cm砲を8門以上装備し、速力は26ノット程度を目指すことになりました。

1930年には起工を予定し、1931年の年末にも起工が期待されました。設計においては、藤本喜久雄造船大佐と平賀譲中将の案が併存しており、藤本案は近代的な全体防御方式を採用していました。一方で平賀案は集中防御を重視した設計で、双方に特徴がありました。

藤本案と平賀案

藤本案は、1基の41cm砲塔を増設し、26ノット以上の速力を目指した設計であり、全体防御を重視していました。これに対し、平賀案は魚雷防御や火力を強化したより保守的な設計でした。両者の設計は、後の日本海軍の大型戦艦の設計にも影響を与えました。

結末

しかし、ロンドン海軍軍縮条約の締結により、戦艦建造の禁止が5年間延長され、金剛代艦の建造はついに行われることがなくなりました。これにより、金剛代艦は幻の艦艇として歴史に名を刻むこととなりましたが、その設計案はその後の大和型戦艦に影響を与えたとされています。

登場作品

金剛代艦は、さまざまなメディアに登場しており、例えば戦艦高千穂や栄光なき天才たちといった作品ではその存在が物語の重要な要素として描かれています。これにより、金剛代艦は今なお多くの人々に記憶される艦艇となっています。

もう一度検索