平賀譲

平賀譲（ひらが ゆずる）

平賀譲は、1878年に東京で生まれ、1943年に亡くなった日本の海軍軍人、造船学者、華族です。彼の学位は工学博士で、最終階級は海軍技術中将でした。また、東京帝国大学の第13代総長も務めました。彼は大正時代から昭和初期にかけて、日本海軍の艦政本部で艦艇設計に従事し、特に妙高型重巡洋艦など画期的な重武装艦の設計で知られています。

生い立ちと教育

平賀は東京で生まれましたが、父親は芸州藩士から維新政府に仕官した主計官でした。彼の教育は、横須賀鎮守府や海軍大学校などを経て、1890年に東京府尋常中学校に入学しました。1895年、日清戦争に伴い海軍兵学校を目指しましたが、体格検査に不合格となりました。その後、第一高等学校工科を経て1898年に東京帝国大学工科大学造船学科に入学し、1901年には卒業しました。

海軍造船官としてのキャリア

平賀は1901年6月に海軍造船中技士（中尉相当）としての職務を開始し、横須賀海軍造船廠に着任しました。彼のキャリアは順調で、1905年にはイギリスに留学し、グリニッジ王立海軍大学校で造船を学びました。帰国後、彼は海軍艦政本部に所属し、艦艇設計に従事しました。

特に、彼は紀伊型戦艦、古鷹型重巡洋艦、在来型駆逐艦などの設計を行い、その斬新な軽量化と重武装化において各国から注目を集めました。その設計理念は新たな造船技術の可能性を示し、航海術における大きな進展を生み出すものでした。

増す権威と対立

平賀は「平賀不譲」と呼ばれるほど強い意志を持っており、他造船官との意見が対立することも多々ありました。特に、戦闘艦艇の設計においてはしばしば議論が勃発し、時には感情的に相手を叱責することもあったとされています。これにより、彼は一時左遷されることになりましたが、その後も艦政本部での影響力を持ち続けました。

東京帝国大学総長としての活動

平賀は1938年に東京帝国大学の総長に就任しました。彼は学問の普及に積極的で、英語教育の重要性を強調しました。しかし、太平洋戦争が開戦すると、彼は陸軍に対して冷静な態度を保ち、大学の卒業式においては、東条英機首相の参加にも反対の意を示しました。彼の言葉は、開戦に対する疑念とアメリカの産業力に対する警鐘でもありました。

晩年と死去

1943年、平賀は肺炎を患い、東京帝国大学医学部附属病院で亡くなりました。彼の脳は解剖により保存され、現在も東京大学医学部にあります。2月23日、彼の大学葬が行われ、東大総長としての最後を飾ることとなりました。彼の遺族や弟子たちからは今なお敬意を表され、その功績が語り継がれています。

平賀の評価

平賀譲の艦艇設計は、軽量艦体に重武装を施した新しい潮流を開きました。その業績は、艦艇デザインの発展に大きく寄与し、日本海軍の戦力向上にも繋がりました。彼の強い意志と独自の視点は、他の造船官たちにも影響を与え、平賀の名は造船史に永く刻まれることとなりました。

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