金原亭馬生

金原亭 馬生について

金原亭馬生（きんげんてい ばしょう）は、落語界において重要な名跡の一つであり、現在の持ち主は第11代目にあたります。その歴史は非常にユニークで、名跡の由来には興味深いエピソードが含まれています。金原は、野馬が生まれる地として知られていることから、名跡は「馬が生まれる」という意味の地口に基づいています。

第1代目の金原亭馬生を祖とする一門は「馬派」と呼ばれ、彼らに属する多くの落語家たちは、「馬」は名に含むものの、亭号は各自のスタイルに応じて独自のものを使用していました。たとえば、蝶花楼馬楽や鈴々舎馬風という落語家たちもこの流派に属しており、彼らの名跡は、後に柳派の落語家によって受け継がれています。このように、馬生という名跡は、継承の歴史を通して、様々なつながりを持つ重要な存在となっています。

特に、20世紀初頭の大正時代には、東京で同時に「馬生」という名の落語家が2人存在する、という珍しい状況が発生しました。5代目が大阪に住んでいる間に6代目が誕生し、その後5代目が戻ってくることでこの状況が生じたのです。この時、寄席では名を区別するためにめくりの色を変更し、5代目の馬生は赤字の「赤馬生」、6代目は黒字の「黒馬生」として知られるようになりました。

この「二人の馬生」の時代は、6代目が4代目古今亭志ん生を襲名する1924年まで続き、落語界における非常に興味深い事件として記憶されています。

歴代の金原亭馬生

金原亭馬生は数代にわたり継承されてきました。各代の名跡は以下のように受け継がれています。

• - 初代金原亭馬生
• - 二代目金原亭馬生 - 後に初代五明楼玉輔
• - 三代目金原亭馬生
• - 四代目金原亭馬生
• - 五代目金原亭馬生
• - 六代目金原亭馬生 - 後に四代目古今亭志ん生
• - 七代目金原亭馬生 - 襲名以前に古今亭馬生を名乗ったことがある - 後に五代目古今亭志ん生
• - 八代目金原亭馬生
• - 九代目金原亭馬生
• - 十代目金原亭馬生
• - 十一代目金原亭馬生 - 現在の当代

特記すべきは、6代目の死後、7代目が馬生を襲名する前に、大阪にいた5代目の弟子である金原亭馬きん（本名：小林捨吉）が馬生に改名したことです。馬きん改め馬生は、後に東京に戻ってきましたが、8代目の存在があったため、一時的に浅草亭馬道に改名し、その後8代目の死後に9代目馬生として襲名し直しました。このように、金原亭馬生は単なる名跡にとどまらず、派閥の中で受け継がれ、時には複雑な継承の歴史を有する存在となっています。

参考文献

• - 諸芸懇話会、大阪芸能懇話会共編『古今東西落語家事典』（1989年4月、平凡社、ISBN 9784582126129）

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