金山平三

金山 平三（かなやま へいぞう）

金山平三は1883年12月18日に兵庫県神戸市で誕生し、1964年7月15日に亡くなった著名な洋画家です。彼は大正・昭和期に活躍し、多くの作品を通じて日本の美術界に貢献しました。特に、雪を題材にした作品が多く「雪の画家」として知られていますが、画壇から遠のいたことから「幻の画家」とも呼ばれています。

生い立ちと教育

平三は、元町通で深く芸術的な影響を受けて成長しました。神戸尋常小学校を卒業後、立教中学校に進学し、1905年に東京美術学校に入学。彼は黒田清輝らの指導を受け、1909年には首席で卒業しました。その後、同校の助手になりましたが、1911年には退学し故郷の神戸に戻ります。

1912年、貿易船でパリに渡り、その後約4年間はヨーロッパ各地を訪れながら写生旅行を行いました。彼はこの時期に多くの貴重な経験を得、後の作品に大きな影響を与えることになります。

画壇での躍進

帰国後、平三は1916年に第10回文展に出品し、初入選を果たしました。この時の作品『夏の内海』は特選第二席に選ばれ、文部省に買い上げられています。1917年には『氷辷り』が特選第一席となり、その後も彼は毎年作品を出品し続けました。1919年には帝国美術院の審査委員に選出され、重要な位置を占めることになります。

彼の画業の中で、特に雪を描いた作品が評価される一方で、1935年に帝国美術院の改組が行われると、平三は画壇から姿を消しました。この決断は、彼の作風や美術観に対する重要な自己表現を反映したものであり、以降24年間、官展には参加しない道を選びます。

戦争と困難な時期

1945年の神戸大空襲では、平三の家も破壊され、彼の多くの作品が失われる結果となりました。戦後は、彼は大石田に疎開し、ここで多くの作品を制作し続けることになります。1946年には日展審査員に選ばれたものの、これを辞退し、その後も制作に没頭しました。

1956年には画業五十年を祝う展覧会が開催され、多くの未発表作も含め240点が出品されました。その後も多くの美術館で展覧会が開かれ、1983年には金山の作品が兵庫県立美術館で紹介されました。

晩年と死去

平三は1964年に入院し、同年7月に81歳で逝去しました。彼の遺志により、本葬は行われず、叙位・叙勲も辞退しました。神戸市営追谷墓地に埋葬されています。彼の死後、夫人により多くの作品が寄贈され、兵庫県立美術館に所蔵されています。

主な作品と評価

金山平三の作品には『自画像』、『夏の内海』、『氷辷り』、『雪の湖』などがあります。彼の作品は国内外で高く評価されており、特に自然を描いた詩情豊かな作品は多くの人々に愛されています。彼の影響は今でも日本画壇において感じられ、後進の画家たちに多くのインスピレーションを与え続けています。

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