長野えびす講煙火大会

長野えびす講煙火大会

長野えびす講煙火大会は、毎年11月23日（勤労感謝の日）に長野県長野市で開催される花火大会です。晩秋の澄んだ空気の中、色鮮やかな花火が夜空を彩る様子は、多くの観客を魅了します。全国的にも珍しい晩秋開催の大規模な花火大会であり、その質の高さから「一度は見ておくべき」と花火評論家にも評されています。また、花火師たちが技術を競い合う場としても知られ、翌年の花火のトレンドを占う意味でも注目されています。

歴史

長野市では、古くから祭礼に花火を奉納する習慣がありました。1827年には平林で若者組が自作の花火を奉納した記録があり、その後、専門業者に依頼するようになりました。また、安茂里犀川神社では、現在も「久保寺煙火保存会」による杜煙火の奉納が市の無形民俗文化財に指定されています。権堂町では、遊郭が客寄せのために秋葉神社の祭礼に花火を上げていたという記録も残っています。

明治維新により一時中断した花火大会は、1899年に有志によって復活しました。善光寺門前の西宮神社のえびす講に合わせて、景気づけとして花火大会が開催されるようになり、この時から夜花火が中心となりました。当初は鶴賀遊郭の田んぼが打ち上げ場所でしたが、その後、市街化が進んだため、打ち上げ場所は変遷を重ねています。1916年には、全国で初めて二尺玉を打ち上げるなど、先進的な花火大会として知られるようになり、全国の煙火師から「出世煙火」と呼ばれるようになりました。

特徴

長野えびす講煙火大会は、単なる花火大会ではなく、技術の粋を集めた花火が打ち上げられる点が特徴です。1991年からは二尺玉の打ち上げが自粛されましたが、翌年からは全国十号玉新作花火コンテストが併催されるようになり、大玉の打ち上げに代わって、花火の技術を競う大会として発展を遂げました。現在でも、多くの観客がその技術力に魅了されています。

花火大会は、長野市若里の犀川第二緑地を会場として開催され、観覧席や屋台が立ち並びます。約100店舗の屋台では、温かい食べ物が販売され、寒空の下での花火鑑賞を盛り上げます。有料観覧席には、「えびすシート」、「プレミアムシート」、「大黒シート」の3種類があり、それぞれ異なるサービスが提供されます。無料観覧エリアでは、堤防斜面などで自由に花火を楽しむことができます。

近年の動向

近年では、2019年に台風による災害のため中止になったり、2020年には新型コロナウイルスの影響で延期となるなど、社会情勢に影響を受けながらも、花火大会の開催に向けた努力が続けられています。2021年には、感染症対策として打ち上げ場所を分散して開催し、2022年には感染対策を講じた上で2カ所での開催となりました。このような状況下でも、花火大会の灯を絶やさず、多くの人々に感動を与え続けています。

アクセス

花火大会の会場へは、JR長野駅や、しなの鉄道、長野電鉄の長野駅からアクセス可能です。アルピコ交通のバスを利用し、「日赤」バス停で下車するとすぐです。当日は、長野駅周辺や郊外に臨時駐車場が設けられ、そこからシャトルバスが運行します。また、長野駅東口からは徒歩20分程度で会場に到着できます。当日は、会場周辺の道路が歩行者専用となり、車両の進入が規制されるため、公共交通機関の利用が推奨されます。

関連人物

長野えびす講煙火大会の歴史を語る上で欠かせない人物として、藤原善九郎と青木儀作が挙げられます。藤原善九郎は、長野県煙火組合の初代会長であり、初めて尺玉の打ち上げに成功しました。青木儀作は、花火技術発展に貢献した人物であり、黄綬褒章を受章しています。彼の子孫が継いだ紅屋青木煙火店は、現在でもえびす講花火大会の代表的な存在です。

長野えびす講煙火大会は、長野市の歴史と文化を今に伝える、貴重なイベントです。花火の美しさだけでなく、その背景にある人々の情熱と技術にも触れることができるでしょう。これからも、多くの人々に感動と喜びを届ける花火大会として、その歴史を刻み続けていくことでしょう。

もう一度検索