関西将棋会館

関西将棋会館：歴史と新たな出発

1981年設立の関西将棋会館は、長年、関西地区の将棋界の中心として活躍してきました。大阪府大阪市福島区に位置し、JR福島駅から徒歩3分のアクセス抜群の立地を誇り、多くの棋士が対局を行う場として利用されてきました。会館内には、水無瀬の間、錦旗の間など、複数の対局室があり、5階には江戸城本丸の御黒書院を模した特別対局室も存在していました。将棋道場や将棋教室も併設され、将棋文化の普及にも貢献しました。

かつては4階に将棋博物館も併設されており、貴重な将棋関連資料が展示されていましたが、2006年10月に閉館。その後、所蔵品は大阪商業大学アミューズメント産業研究所に移管され、現在も一部が展示されています。

会館の御上段の間には、永世名人四名による書がかけられた掛け軸が飾られていました。これは、十四世名人木村義雄、十五世名人大山康晴、十六世名人中原誠、十七世名人谷川浩司の四名による『老子』からの引用で、それぞれの書は「天法道」「地法天」「人法地」「道法自然」と、奥深い意味を持っていました。ただし、現役棋士である谷川浩司の書は、彼が対局者や立会人の際には外されていました。

しかし、長年の老朽化が問題となり、新たな会館建設が決定。2024年度を目処に、大阪府高槻市へ移転することが発表されました。高槻市は、桐山清澄九段、福崎文吾九段、浦野真彦七段など多くの棋士を輩出しており、「将棋のまち」としても知られています。この移転は、高槻市の将棋振興にも大きく貢献するものと期待されています。

移転先の高槻市では、JR高槻駅きた西口そばに新たな関西将棋会館が建設されます。5階建ての建物となり、5階の特別対局室は従来と同様に江戸城御黒書院を模した設計となる予定です。1階と2階は一般向け、3階以上は棋士や職員のためのエリアとなります。さらに、会館隣接には「関西将棋の森」と名付けられた公園も整備され、会館と公園が一体となった地域活性化も目指しています。

新会館の建設は、公募型プロポーザル方式により選定された大成建設が担当。2023年9月13日には地鎮祭が執り行われ、工事は順調に進んでいます。完成予定は2024年秋で、新たな関西将棋会館は、将棋文化の発展に大きく寄与する存在となるでしょう。

新会館では、関西将棋会館オフィシャルショップと道場も移転オープンする予定で、公式棋戦の対局も新会館で行われるようになります。また、グランドオープンに先立ち、2024年11月17日の「将棋の日」にお披露目会が行われる予定です。高槻市では、新会館の建設を記念して、全国初の「将棋のまち推進条例」を制定し、日本将棋連盟が所有する事業用固定資産への固定資産税および都市計画税を課税しない措置を取るなど、将棋振興への強い意欲を示しています。

このように、関西将棋会館は、新たな土地で新たな歴史を刻み始めようとしています。老朽化した旧会館の思い出を胸に、高槻市という新たな舞台で、将棋文化の更なる発展に貢献していくことでしょう。

旧関西将棋会館は、大阪市福島区で長年将棋界を支えてきましたが、その歴史は新たな章を迎えます。高槻市への移転は、単なる施設の移転ではなく、関西将棋界、ひいては日本の将棋界にとって大きな転換点となるでしょう。

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