防災訓練

防災訓練

防災訓練とは、地震、火災、水害などの災害発生に備え、被害を最小限に抑えるために行われる訓練の総称です。

概要

防災訓練は、古くはバケツリレーのような集団行動が中心でしたが、現代では消火器の取り扱い、土嚢作り、迅速な避難など、より実践的な内容へと進化しています。火災への対応だけでなく、地震や水害など、様々な災害を想定した訓練が行われるようになりました。

日本では、関東大震災が発生した9月1日を「防災の日」と定め、国を挙げて防災訓練を実施しています。特に、首都直下地震の発生が懸念される南関東地域では、九都県市合同防災訓練として、各自治体が連携して総合的な防災訓練を行っています。

歴史

江戸時代の町火消に見られる梯子を使った訓練は、現在の消防出初式にも受け継がれています。これは、集団での連携や技術の伝承を目的とした、初期の防災訓練の形と言えるでしょう。

主な防災訓練の種類

防災訓練は、想定する災害の種類によって様々な内容があります。

地震を想定した防災訓練

地震発生時の避難経路の確認、初期消火、負傷者の救出、情報の収集・伝達など、多岐にわたる訓練が行われます。倒壊家屋からの救出訓練では、災害救助犬の活用も想定されています。沿岸部では、津波を想定した高台への避難訓練も重要です。

火災を想定した防災訓練

初期消火訓練を中心に、避難経路の確認、煙体験、消防署によるコンビナート火災やビル火災を想定した実践的な訓練が行われます。近年では、救助活動に重点を置いた訓練も増えています。

水害を想定した防災訓練

堤防決壊時の土嚢作り、水防工法の実施、避難誘導、水難救助訓練などが行われます。河川流域地域では特に重要な訓練です。

大規模交通事故を想定した防災訓練

トンネル内事故や高速道路での多重衝突事故を想定し、負傷者の救出、消火活動、交通整理などを行います。

原子力発電所災害を想定した訓練

原子力発電所事故発生時の避難誘導、放射線防護、住民への情報提供などを行います。

その他
揺れ体験訓練：起震車や地震ザブトンを使用し、地震の揺れを体験
救出・搬送訓練：倒壊家屋からの救出、担架や毛布を使用した搬送
救護訓練：三角巾の使い方、止血法、AEDの使用方法
情報伝達訓練：アマチュア無線や郵便局員による情報伝達
避難所訓練：避難所での生活を想定した宿泊訓練
炊き出し訓練：ライフラインが途絶した状況での炊き出し
帰宅訓練：災害発生時に徒歩で帰宅する訓練
船舶・航空機事故を想定した訓練：船舶からの救出、航空機からの脱出など
毒物・劇物を想定した訓練：NBCテロを想定した特殊災害訓練

揺れ体験訓練

起震車などを利用して地震の揺れを体験する訓練です。阪神淡路大震災や東日本大震災の揺れを再現し、地震の恐ろしさを体感することで、防災意識の向上を図ります。

救出・搬送訓練

建物の倒壊や家具の転倒により負傷した人を救出・搬送する訓練です。担架や毛布などを用いて、安全かつ迅速な搬送方法を習得します。

救護訓練

三角巾の使い方、止血法、AEDの使用方法など、応急手当の知識と技術を習得する訓練です。救急救命士によるトリアージ訓練も行われます。

情報伝達訓練

アマチュア無線や災害時協定業者などを活用し、被災地の状況や必要な支援に関する情報を迅速かつ正確に伝達する訓練です。

避難所訓練

避難所での生活を想定した宿泊訓練です。ライフラインが途絶した状況を想定し、食料や水、生活必需品の確保、プライバシーの保護など、様々な課題を体験します。

炊き出し訓練

ライフラインが途絶した状況を想定し、自主防災組織などが協力して食料を調理する訓練です。非常食の活用方法や、限られた資源で効率的に調理する技術を習得します。

関連法令

災害対策基本法
消防法
水防法
* 大規模地震対策特別措置法

まとめ

防災訓練は、いざという時に自分の命を守り、地域社会を守るために不可欠なものです。日頃から防災意識を高め、積極的に訓練に参加することが重要です。

もう一度検索