雁来大橋

雁来大橋

雁来大橋は、北海道札幌市内を流れる豊平川に架かる重要な橋梁です。この橋は国道275号の一部を構成しており、札幌市における主要な幹線道路の一つとして、日々の交通を支える役割を担っています。

豊平川に架けられた数ある橋の中でも、雁来大橋はその長さにおいて最も優れており、また、川の流れに沿って最も下流側に位置する橋でもあります。これらの地理的な特徴は、雁来大橋が担う交通結節点としての重要性を物語っています。

また、雁来大橋は単に自動車交通のためだけでなく、北海道道814号滝野上野幌自転車道線の一部としても利用されています。この自転車道線は、橋を渡って江別市の大麻方面や、札幌市厚別区の上野幌方面へと向かうルートの一部を形成しており、レクリエーションや通勤・通学など、多様な目的で利用する人々にとって欠かせない経路となっています。

歴史

現在の雁来大橋の歴史をたどる上で、その前身にあたる旧雁来橋の存在は欠かせません。旧雁来橋は、現在の雁来大橋よりもおよそ1キロメートルほど下流に位置していました。

昭和初期、豊平川では治水事業の一環として新しい水路の開削が進められました。昭和7年（1932年）に工事が始まり、昭和16年（1941年）に通水に至ったこの新水路は、当時の主要道路であった札幌稚内線（現在の国道275号）と交差することになったため、この新しい水路を渡るための橋が不可欠となりました。

新水路の通水開始に先立ち、昭和13年（1938年）には橋の下部構造、すなわち橋脚の建設が完了しました。しかし、その後の時局の悪化、特に太平洋戦争の開戦により、残りの上部構造の工事は中断を余儀なくされます。工事再開までの間、橋の上部には一時的に木造のトラス橋が仮設され、最低限の交通機能が維持されました。

戦争終結からしばらく時を経た昭和32年（1957年）になり、ようやく旧雁来橋の本格的な建設工事が再開されました。この際、すでに建設から20年近い歳月が経過していた下部構造の橋脚部分に対し、近代的な基準に合わせた改良が施されました。完成した橋の構造は、プレストレストコンクリート（PC）桁橋を基本としつつ、中央部分には3連のワーレントラス橋が溶接によって連結されるという、当時としては北海道で初めて採用された先進的な技術が導入されていました。こうして、全長341メートルにおよぶ旧雁来橋が昭和34年（1959年）に完成し、本格的な供用が開始されました。

旧雁来橋は長らく地域の交通を支えましたが、時代の変化とともに新たな課題が浮上しました。特に、札幌側には急なカーブが存在しており、これが交通の流れを妨げるボトルネックとなっていました。

この問題を解消し、広域交通の円滑化を図るため、昭和55年（1980年）11月、雁来バイパスの整備事業の一環として、旧橋のわずか上流側に現在の雁来大橋が新たに建設されました。新橋の供用開始に伴い、役割を終えた旧雁来橋は解体されることとなりました。

比較的新しい動きとしては、平成19年（2007年）に、白石区側で北海道道626号東雁来江別線との交差点において、交通の流れをスムーズにするための右折専用レーンが新設されるなど、改良が加えられています。

雁来大橋は、その長い歴史の中で地域の発展と共に姿を変えながら、今日も札幌市の重要な交通インフラとして機能し続けています。

もう一度検索