電波探知機

電波探知機（逆探）の概要

電波探知機（でんぱたんちき）は、日本海軍が開発したレーダー波探知装置の一種で、敵の電波を傍受してその位置を把握するために使用されました。この装置は「逆探」とも略称されることがありますが、「電波探知機」という名称はより広義の意味でも使われており、陸軍のレーダー研究においても同様の呼称が存在しました。海軍の文脈では、広義のレーダーは「電波探信儀」と呼ばれており、電波探知機はその一部として特に敵の探知機からの電波を受け取る機能を持ちます。

開発の背景と歴史

1942年春、ドイツからイギリスのレーダー波を探知する技術情報がもたらされ、また前線部隊からも探知機の開発要求が寄せられたことから、試作が始まりました。通称E27型として知られるこの装置は、重量が40kgで、探知可能な波長は4mから0.75mの超短波（メートル波）に及びました。アンテナには、45度に傾いた反射板付きラケット型と全周探知が可能な円筒型の2種類が使用されました。

1943年7月には戦艦「山城」での搭載実験を経て、量産が決定され、翌年春までに約800台が生産されました。最初のモデルは波長の切り替えに高周波部を交換する必要がありましたが、後にダイヤル式に改良されたことにより、操作性が向上しました。これにより、1944年のレイテ沖海戦前に急速にレーダーの装備が進められました。

性能と限界

電波探知機は、アメリカ海軍のSC捜索レーダーなどの探知が可能でしたが、新型のSG捜索レーダーには対応できないため、使用され始めた頃にはすでに時代遅れとなっていました。特に1944年以降は、航空機に搭載された最新式のレーダーに対して無力でした。

この装置は潜水艦にも搭載されることがあり、その際には特別に設計されたアンテナが用意されましたが、海水による影響や防水性の問題が絡んで、性能を確保するのが難しい状況でした。

センチメートル波の探知機

1944年末には、波長75cmから3cmのセンチメートル波を探知できる新型の電波探知機も開発され、これによりアメリカ海軍の主力であったSG捜索レーダーも探知可能になりました。この新型は「3型」と呼ばれ、電波探知機47号とも称されました。アンテナは波長に応じてラケット型と電磁ラッパ型の2種類が使用されましたが、潜水艦への装備に際し固定アンテナの設置が難しく、浮上後に水測員が手持ちのパラボラアンテナを使って捜索を行う必要がありました。生産は約200台にのぼりました。

その他の情報

さらに、ドイツから持ち帰ったメトックスと呼ばれる検波探知機を基にした約30台のコピー版も製造されました。探知波長は1mから0.3mで、これらの装置は日本海軍における多様な探知能力強化に寄与しました。

これらの技術革新は、当時の戦局における情報戦の重要性を反映しており、電波探知機は日本海軍の戦術において重要な役割を果たしました。

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