電通本社ビル

電通本社ビルの概要

電通本社ビルは、東京都港区東新橋にそびえ立つ高層建築物で、その魅力は多面的です。汐留シオサイトの東側に位置し、南側には浜離宮庭園が広がっています。このビルは、大手広告代理店である電通の本社が入っているほか、低層部にはレストランや劇場、博物館などが集まる都市型複合施設「カレッタ汐留」が併設されています。2003年には第45回BCS賞、さらにはグッドデザイン金賞を受賞しています。

建設の経緯

電通は、2000年代初頭、さまざまな場所に分散していた本社機能を一元化するため、このビルの建設を決定しました。1997年に行われた汐留貨物駅跡地の公開入札に参加し、香港企業との競争を僅差で制して落札しました。1999年に工事が開始され、約3年後の2002年11月1日に竣工しました。設計には大林組を中心に、フランスの建築家ジャン・ヌーヴェルとアメリカの建築家ジョン・ジャーディが関与しています。

デザインの特長

電通本社ビルの設計は、浜離宮庭園に面した南側に曲面を持つブーメラン形状になっています。この設計は、周囲の景観との調和を考慮されています。白からグレーへのグラデーションが施された外観は、見る角度によって異なる表情を見せ、訪れる人々の目を引きつけます。さらに、文化財保護法の観点からも、美しい景観を守る施策が採られています。

売却に関する動き

2021年6月、電通グループは、このビルの売却検討に入ることを公式に発表しました。新型コロナウイルスの影響で、テレワークの導入が進み出社率が低下している現状を踏まえての判断です。その後、同年9月には売買契約が成立し、年末には売却が実施される予定でした。この取引は、汐留エリアの不動産を含む広域的なものであり、報道によれば、約2680億円という額が関与しているとされています。

構造的特長

このビルは、「100年建築」を目指して作られており、高性能・高耐久性を兼ね備えています。風や地震への対策として、特に複雑な形状を考慮して、風洞実験や構造設計が行われました。耐震性を高めるために40階まではコンクリート充填鋼管を採用し、その上にはハイブリッド制振装置を設置しています。

エレベーターシステム

ビル内には、業務効率を促進するためのシャトルエレベーターが設置されています。これにより、エントランスホール・4階・14階・25階・36階に迅速にアクセス可能です。特にスカイレストランへのアクセスも迅速で、多くの訪問者に利用されています。

カレッタ汐留の役割

電通本社ビルには、地域の文化・商業の中心地として「カレッタ汐留」が存在します。ここには飲食店や商業施設、さらには展示スペースもあります。大きな吹き抜けには滝が設置され、訪れる人々を楽しませます。2023年時点で、コロナ禍の影響もあり、多くの店舗が空き店舗として扱われている現状が懸念されます。

電通本社ビルは、広告業界の中心的な拠点であると同時に、地域に新たな価値を提供する重要な存在でもあると言えるでしょう。

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