青山公園

青山公園：都心の緑溢れるオアシス

東京都港区に広がる都立青山公園は、緑豊かな空間を提供する都心の貴重なオアシスです。しかし、この公園は、六本木7丁目の南地区と南青山2丁目の北地区という、互いに500メートル以上離れた2つのエリアに分かれている点が特徴的です。それぞれ異なる歴史と表情を持つ、魅力的な空間となっています。

南地区：歴史と眺望が織りなす空間

南地区は、かつて日本陸軍兵舎、特に射撃場があった跡地に整備されました。現在では、道路沿いに広がる球技用フェンスで囲まれた運動場が、地域住民の憩いの場となっています。（ただし、高校生以上の野球やバッティングは禁止されています。）

運動場の東側は道路よりも一段高くなっており、かつては旧陸軍兵舎の一部が残っていました。しかし、現在はその大部分が在日米軍赤坂プレスセンターのヘリポートとして使用されています。そのため、このエリアには遊具やその他の設備は設置されていません。

この高台からは、ヘリポートを一望できる絶好の展望ポイントとなっており、展望台と「麻布台懐古碑」が設置されています。この石碑は、かつてこの地に駐留していた歩兵第3連隊と近衛歩兵第5連隊の関係者によって建立され、公園の歴史を物語っています。

南地区の歴史は、1958年に在日米軍による接収解除後、東京都が公園として整備を開始したことに始まります。1970年の開園以来、地域住民に親しまれてきました。一方、公園の一部が在日米軍のヘリポートとして使用されている点は、複雑な歴史的経緯を示しています。このヘリポートは、環状三号線六本木トンネル工事の際に一時的に設置されたものが、その後も返還されずに継続して使用されてきました。東京都と米軍の間で協議が続けられ、最終的には代替地を返還することで合意に至り、現在は青山公園の一部として追加整備される予定です。

北地区：静かな住宅街に囲まれた憩いの場

北地区は、かつて引揚者住宅があった跡地に整備された公園で、「東京都南青山一丁目ひろば」という別名でも親しまれています。周辺には東京都住宅供給公社が管理する都営住宅が立ち並び、公園は複雑な形状でこれらの住宅地を取り囲むように配置されています。

この地区には、子供たちが安心して遊べる遊具広場が整備されていますが、遊具自体は隣接する港区立青葉公園内に設置されています。比較的静かな住宅街に囲まれた、落ち着いた雰囲気の公園です。

アクセスと周辺施設

南地区と北地区ともに、東京都道319号環状三号線沿いに位置しており、公共交通機関でのアクセスも良好です。東京メトロ千代田線乃木坂駅や日比谷線六本木駅から徒歩圏内に位置する南地区は、日本学術会議や国立新美術館が目印です。一方、北地区は港区立赤坂図書館のそばにあり、東京メトロ銀座線・半蔵門線、都営地下鉄大江戸線青山一丁目駅から徒歩でアクセスできます。

周辺には、国立新美術館や青山霊園などの施設があり、散策や文化体験を楽しむことができます。なお、「青山公園」という名称は、港区立青山公園と混同される場合があることに注意が必要です。

青山公園の歴史年表

1889年（明治22年）：陸軍歩兵第3連隊が麻布台に駐屯開始
1936年（昭和11年）：二・二六事件発生、歩兵第3連隊から多くの兵士が参加
1936年（昭和11年）：歩兵第3連隊の主力が満州に派遣
1939年（昭和14年）：近衛歩兵第5連隊編成
1943年（昭和18年）：近衛歩兵第7連隊編成
1945年（昭和20年）：米軍により接収
1958年（昭和33年）：接収解除（一部を除く）
1970年（昭和45年）：都立青山公園開園

青山公園は、歴史と自然が調和した、都心の貴重な空間です。それぞれの地区が持つ独自の個性を体感し、豊かな時間を過ごせる場所と言えるでしょう。

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