青木玲子

青木 玲子

1956年4月2日生まれの日本の経済学者。専門は産業組織論、応用ミクロ理論、および理論経済学であり、その研究は知的財産、技術開発、商品差別化から現代社会の課題である少子化の経済学、さらにはドメイン投票方式といった多岐にわたるテーマに及んでいます。国内外の教育機関で長く教鞭を執り、一橋大学名誉教授の称号を持つほか、公正取引委員会委員として日本の経済政策、特に競争政策の形成と運用にも重要な役割を果たしています。

学術的背景とキャリア

青木玲子氏は、まず東京大学理学部数学科にて理学士号を取得し、1981年に卒業しました。その後、学問の道を経済学へと転じ、1983年には筑波大学大学院経営政策研究科で経済学修士号を取得。同大学院社会工学研究科の博士課程に進学しましたが、中途退学を選択しました。

学術的な研鑽を深めるため米国へ渡り、名門スタンフォード大学大学院で学びを続けます。1986年に統計学修士課程を修了した後、翌1987年には経済学部博士課程を修了し、Ph.D.（経済学博士）の学位を取得しました。この米国での経験が、その後の国際的なキャリアの基盤となります。

博士号取得後、1987年からオハイオ州立大学経済学部で助教授として教職キャリアをスタートさせました。1990年にはニューヨーク州立大学ストーニーブルック校経済学部へ移り、ここでも助教授を務めました。さらに、1997年にはニュージーランドのオークランド大学経済学部へ移籍し、講師を経て2005年には准教授に昇任するなど、海外での教育・研究活動を通じて国際的な視点を養いました。

国内での活動と公職

2003年、青木氏は日本に拠点を移し、一橋大学経済研究所の助教授に就任しました。その後、2006年には同研究所の教授（米・欧・ロシア経済研究部門担当）となり、日本の経済学界の中心で研究・教育活動を展開しました。この間、2007年から2009年にかけて一橋大学評議員を務めるなど、大学運営にも貢献しています。

学術機関での活動と並行して、青木氏は様々な公的な役職も歴任しました。2009年には内閣府総合科学技術会議議員に就任し、日本の科学技術政策の立案に携わりました。2014年には一橋大学附属図書館長および学長補佐（図書館担当）を務め、同年10月からは九州大学の副学長および理事（非常勤）を兼任しました。同年11月には一橋大学を一度退職しますが、12月には九州大学の副学長・理事（常勤）に就任し、九州大学の運営に深く関わりました。同時に、一橋大学経済研究所の非常勤研究員としても活動を継続。2015年からは一橋大学経済研究所の客員教授を務めました。2016年に九州大学を退職した後も、学術分野での活動を続けました。

そして2016年12月、青木氏は公正取引委員会委員に任命されました。この重要な役職において、日本の競争法や政策の執行、経済活動の公正性の確保に貢献しています。また、2018年5月からは国立大学法人一橋大学社会科学の発展を考える円卓会議委員、2020年4月からは国立大学法人一橋大学経営協議会委員を務めるなど、母校である一橋大学との関わりも継続しています。

2020年3月には一橋大学名誉教授の称号を授与され、長年にわたる同学への貢献が称えられました。

主な著作

研究成果は多数の論文として発表されているほか、編著や共著としても刊行されています。代表的なものとして、スザンヌ・スコッチマー著『知財創出 イノベーションとインセンティブ』（日本評論社、2008年）の編著や、遠山嘉博氏との共著『日本・ニュージーランド経済関係の研究』（追手門学院大学オーストラリア研究所、2004年）などがあります。

青木玲子氏は、その幅広い専門知識と国内外での豊富な経験に基づき、学術研究、教育、そして政策決定という多方面で日本の経済社会に貢献し続けています。

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